流体解析では、配管や容器そのもののジオメトリではなく、流体(気体または液体)が占める流体領域の形状を用いて計算を行います。しかし、多くの場合、CADモデルにはデフォルトで流体領域はモデル化されていません。このような場合、CADモードの機能を使用して流体領域を抽出できます。
なお、シミュレーションに用いるのは流体領域のジオメトリのみなので、流体領域を抽出した後に部品そのもののソリッドボディは削除する必要があります。
このプロセスを流体体積抽出と呼びます。
パイプを通る流れのシミュレーションを題材に基本的な使用例を以下に示します。目標は、このパイプの接続部を通る流体の流れをシミュレーションすることです。左図の元のモデルにはパイプのみが含まれています。ここから、右図の流体が実際に流れる領域が、シミュレーションの入力ジオメトリとしては必要です。
SimScaleでは2つの流体量抽出モードが利用できます:
- Internal Flow Volume (内部流体領域)
- External Flow Volume (外部流体領域)
形状に応じて、2つのモードのいずれかを使用して流体体積を抽出できます。それぞれのタイプの適用例を以下に示します。
1. Internal Flow Volume (内部流体領域)
この操作では内部流体領域を生成します。例えば、以下の例は熱交換器の内部流体領域を生成する方法を示しています。熱交換器には、各流体用に2つの開口部があります。以下のように流体領域の1つを抽出します:
- Internal を選択します。
- 内部の Seed face (青)を1つ選択します。(作成する流体領域が内部で接する面のいずれか)
- 外部環境と内部(ピンクで強調表示)の間にあるBoundary faces (境界面)を選択します。
- モデル内にセルゾーンがある場合、それらを Excluded parts (除外部品)に割り当てます。ない場合は、空のままにしておきます。
- Apply を押して操作を実行します。
この結果、流体領域と外壁ジオメトリの両方を含むジオメトリが 2 つの別個のパーツとして作成されます。しかし、シンプルな流体シミュレーションでは、流体領域は1つで十分です。外壁ジオメトリ(ソリッドボディ)は、ソリッドパーツと流体領域間の熱伝達をシミュレートする必要がある Conjugate heat transfer (共役熱伝達) 解析の場合にのみ保持します。 Incompressible (非圧縮性)、 Compressible (圧縮性)、 Convective heat transfer (対流熱伝達)のような単一領域の解析を行う場合は、以下のようにソリッドボディを削除する必要があります:
- BODYの下にある Delete 操作を選択します。
- 削除する必要があるソリッドボリュームを選択します。この例では、Shell です。
- Apply をクリックします。
すべての操作が終了したら、 Save as copy をクリックしてCADモードを終了します。ワークベンチに移動します。
モデルは完全に囲まれているかもしれません。次の図では、開口部のない劇場モデルの壁とダクトが見えます。このような場合は、まず、Select other 機能を使って、流体領域と接触している内部の面をSeed faceとして選択します。次に、以下のようにHVACシミュレーションを実行できるように内部フローボリュームを抽出します:
- Internal を選択します。
- 内部のSeed face (青)を1つ選択します。
- Boundary faces (境界面)は空のままにします。
- モデルにセルゾーンがある場合は、 Excluded parts (除外部品)に 割り当てます。ない場合は空のままにしておきます。
- Apply を押して操作を実行します。
流体領域の抽出後、ソリッドボディを削除して、Convective heat transfer (対流熱伝導)解析を実行することができます。最後に、Save as copy をクリックして、モデルをワークベンチにエクスポートします。新しいCADモデル名は「Copy of... 」で始まり、元のCAD名が続きます。
2. External flow volume
このオプションは、外部流れの問題に適しています。まず、外部流体領域のサイズを決め、それから操作を実行します。例えば、以下の例では、車両CAD形状に対して半対称の流体領域を生成する方法を示しています。
- External を選択します。
- Box dimensions で流体領域ボックスの最小座標と最大座標を調整して、外部流体領域のサイズを定義します。
- モデルに内部ボイドがある場合は、外部流体領域からボイドを区別できるようにSeed faceを定義します。Seed faceの詳細については、 こちらの記事をご覧ください。
- モデル内にセルゾーンがある場合は、 Excluded parts (除外部品)に 割り当てます。ない場合は空のままにしておきます。
- Apply を押して操作を実行します。
さらに、単一の流体領域を必要とする解析タイプでモデルを使用できるように、ソリッドパーツを削除します:
- BODYの 下にある Delete 操作をピックします。
- 車両本体を選択します。
- Apply をクリックします。
- Save as copy をクリックして新しいCADバージョンを Workbench にエクスポートします。
外部流体領域を作成する際、領域のサイズに特に注意してください。流体領域となるボックスのサイズは、モデル後方の乱流後流やモデル前方の圧力領域がボックスの境界に達しない程度に大きくする必要があります。一方、領域が大きいとシミュレーションの計算コストが増大する可能性が高くなります。したがって、技術的な判断やベストプラクティスを用いて、流れ領域のサイズを決定してください。
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