Incompressible (LBM) 解析タイプにおける Result control の項目を説明します。
Result control の設定アプローチ
出力されるデータの容量は、メッシュや計算領域の大きさ、出力の時間間隔、シミュレーション時間などで変化するため、予測することは困難です。ここでは、現実的にどういった結果が必要かを考えることで結果出力に関するエラーを生じにくくする設定アプローチを紹介します。
例1
都市内の歩行者高さにおけるさまざまな地点の最大速度を知りたい場合は、その地点の周辺の時刻歴データを出力するだけで済みますが、最適な時刻歴データを得るには理想的には1タイムステップごとのデータを出力したいです。しかしながらそれは、1 億セルを超えるような細かいメッシュ分割を実施した場合には現実的ではありません。
このような場合には、出力する領域を小さくする・立体的な領域ではなくスライスを設定するといった方法で結果データのサイズを小さくできるような設定が推奨されます。さらに安全側では、関心のあるポイントを把握し、Probe point 機能でCSV ファイルで指定したポイントのデータを出力するようにすることも考えられます。
例2
建物の表面に作用する圧力のみを知れればいい風荷重の解析では、都市部(建物モデルがある範囲)の周囲のみ結果を出力する・対象の建物のみに絞って結果を出力する、といった方法が考えられます。さらに、3Dデータではなくてサーフェス データのみをエクスポートして結果のサイズを 2 次元とすることもできます。
上記の 2 つの例では、必要な結果のレベルを決定するのはユーザー次第ですが、レベルを下げるたびに、かなりの量の追加ストレージ スペースが利用可能になり、生産性の高いシミュレーション実行が可能になります。
このため、LBMでは専用の結果出力設定が以下のように存在します。
Transient Output
計算された時系列の結果データの出力について設定します。以下の項目を設定します。
- Write control
- 結果出力の時間間隔を設定します。以下から選択できます。
- Coarse resolution: 8ステップごと
- Moderate resolution: 4ステップごと
- High resolution: 2ステップごと
- Custom: 時間周期を指定します
- 結果出力の時間間隔を設定します。以下から選択できます。
- Fraction from end
- シミュレーションの最終ステップからどの時間ステップまで遡って結果を保存するかを、最終時間ステップを1 (100%) としたときの割合で設定します。例えば、ここで1と設定すると全ての時間ステップ全体の結果を、0.5とすると後半50%の結果を保存します。ただし、1とすると膨大なデータ容量となるため、デフォルトでは0.2、多くても0.5までを推奨します。
- Export flow-domain fields
- オンにすると、3次元的な領域について時系列データを出力・保存します。領域は、 Geometry primitive で指定します。 Local slice (Geometry primitive の内の1種類) で任意の断面を指定する場合もこのオプションを利用します。
- オンにすると表示される Geometry primitives の+ボタンをクリックすると新たに Geometry primitive を作成できます。
- Export surface fields
- オンにすると、特定の面について2次元で時系列データを出力・保存します。
- オンにすると表示される Assigned Faces or Volumes に、ビューア上で選択して割り当てます。
図1: Transient output の設定パネル
図2: (左)Export flow-domain fields で Local slice を利用した場合、(右)Export surface fieldsでモデル表面を指定した場合
Statical averaging
指定した時間幅において計算した統計的な平均値を出力するように設定を行えます。設定項目は以下の通りです。
- Fraction from end
- 指定したタイミングから計算の最終ステップとして、時間幅を設定します。計算の最終ステップを1 (100%) として、タイミングを指定します。例えば、0.2 とすると、計算ステップで80%から100%までの時間幅で時間平均をとります。
- Sampling interval
- 平均計算に使用するデータのサンプリング周期を指定します。これは、全時間ステップで平均を計算すると計算コストが大きくなるためです。
- 以下から選択できます。
- Coarse resolution: 8ステップごと
- Moderate resolution: 4ステップごと
- High resolution: 2ステップごと
- Custom: 時間周期を指定します
- Export flow-domain fields / Export surface fields
- Transient Output の項目と同じです。
図3: Statical averaging の設定パネル
Snapshot
最終ステップでは解析結果がスナップショットで保存されます。ここでは、そのスナップショットについて設定を行います。なお、途中の時間ステップのスナップショットは自動で出力できません。
設定項目は以下の通りです。
- Export flow-domain fields
- オンにすると、3次元的な領域について時系列データを出力・保存します。領域は、 Geometry primitive で指定します。 Local slice (Geometry primitive の内の1種類) で任意の断面を指定する場合もこのオプションを利用します。
- オンにすると表示される Geometry primitives の+ボタンをクリックすると新たに Geometry primitive を作成できます。
- Export surface fields
- オンにすると、特定の面について2次元で時系列データを出力・保存します。
- オンにすると表示される Assigned Faces or Volumes に、ビューア上で選択して割り当てます。
図4: Snapshot の設定パネル
Forces and moments
指定した面に作用する力とモーメントを出力するように設定できます。境界面での表面摩擦と圧力を用いて計算されます。複数の面を選択し、その面全体に作用する力とモーメントを出力することもできます。
設定項目は以下の通りです。
- Center of rotation
- 構造物の重心位置を指定します。
- Write control / Fraction from end
- Transient Output の項目と同じです。
- Export statistical data
- オンにすると、力とモーメントについて統計量を出力するように設定されます。統計量は以下の通りです。
- Minimum, Maximum: 最大値・最小値
- Absolute minimum, Absolute maximum: 絶対値の最大値・最小値
- Average: 平均値
- Standard deviation: 標準偏差
- Root mean square: 二乗平均平方根
- オンにすると、力とモーメントについて統計量を出力するように設定されます。統計量は以下の通りです。
- Group assignments
- オンにすると、指定した面で作用する力とモーメントの合計値が計算されます。オフにすると、それぞれの面について個別に値が計算されます。
図5: Forces and moments の設定パネル
Probe points
指定した点(プローブポイント)について、風速や圧力といった値を出力します。例えば、測定データとの比較の際や結果を定量的に評価する際に有効な機能です。具体的に出力される値は以下の通りです。
- p: 圧力
- UMag: 速度ベクトルの大きさ
- Ux, Uy, Uz: 各方向の速度
- k: 乱流運動エネルギー
- Statistical data: 統計データ
- Export statistical data のトグルをオンにした場合
出力点の位置は、CSVファイルで指定します。CSVファイルは以下のように作成してください。
- 1列目:出力点の名前
- 2列目:X座標
- 3列目:Y座標
- 4列目:Z座標
図6: Probe point の位置を指定するCSVファイルの内容
計算の時間ステップと出力の時間間隔
Incompressible (LBM) では、計算の時間ステップはメッシュ等を考慮してアルゴリズムで自動的に決定されるため、ユーザーが指定することはできません。一方、 Write control を Custom とした場合にはユーザーは出力の時間間隔を指定できます。ここで、自動的に決定された時間ステップが指定した出力間隔よりも大きくなってしまうことがあります。その場合はメッセージが表示されて出力間隔が自動的に調整されます。結果に対して周波数分析を行う場合は注意してください。
図7: Write interval が計算の時間ステップよりも小さい場合のメッセージ