概要
Pedestrian Wind Comfort (PWC: 歩行者風の快適性解析)のメッシュは、格子ボルツマン法(LBM)に基づいているため、SimScaleの有限体積ベースの流体力学解析タイプとは全く異なります。ここでは、建物や地形の形状に必ずしも一致しない立方体要素のみで構成されるCartesian background mesh (直交背景メッシュ)が生成されます。
さらに正確な形状を考慮するために、固体と流体領域の間の界面を考慮するサブグリッドモデルが存在します。
格子ボルツマン法の大きな利点は、全体のグリッドサイズがジオメトリの細部に縛られないこと、そして小さな穴、重なり、交差部分で発生するCADモデルの不正確さに対してよりロバストであることである。
PWC解析の背景メッシュのサイジングは高度に自動化されており、特定のユースケースのみを対象としているため、モデルサイズが1~10\([km^2]\)、Region of interest (関心領域)の半径が200~500\([m]\)の場合に最適です。
グローバルメッシュ設定
メッシュ・アルゴリズムは以下の通りです:
- 最も細かいセルはジオメトリの表面近くに位置します。Region of interest (関心領域)では、その外側よりも2レベル細かい最小セルサイズが使用されます。
- 表面近くには、最小セルサイズの4~6層のセルがあります。
- 表面から離れると、およそ4セルごとにセルサイズが2倍ずつ大きくなります。
- 建物の風下側(同じ大きさのセルがおよそ16個ある)では、後流(圧力抵抗の原因となる周囲の空気を引きづる流れ)領域を正確に解像するために、さらにメッシュが細分化されます。この細分化は、実際の風向きに合わせて風向きごとに個別に適用されます。
- 使用されるセルサイズの最大値と最小値は、Fineness (微細度)とRegion of interest (関心領域)の直径(以降、ROI直径)に依存します。一般的に、Region of interest (関心領域)が小さいほど、最小セルサイズは小さくなります。詳細は以下の表1に示しています:
| 微細度 | 細分化レベル数 | ROI直径あたりのセル数 |
|
Very coarse |
4 | 16 |
|
Coarse |
5 | 16 |
|
Moderate |
5 | 24 |
|
Fine |
6 | 16 |
|
Very fine |
6 | 24 |
\[最大セルサイズ=\frac{Disc\ Diameter}{ROI直径あたりのセル数}\]
\[最小セルサイズ=\frac{最大セルサイズ}{2^{細分化レベル数}}\]
以下の表2は、自動メッシュ処理によるROI半径あたりの最大および最小セルサイズを示しています。
|
ROI 半径 \([m]\) |
Very Coarse 最大/最小\([m]\) |
Coarse 最大/最小\([m]\) |
Moderate 最大/最小\([m]\) |
Fine 最大/最小\([m]\) |
Very Fine 最大/最小\([m]\) |
| 100 | 12.5 / 0.8 | 12.5 / 0.4 | 8.3 / 0.3 | 12.5 / 0.2 | 8.3 / 0.1 |
| 200 | 25.0 / 1.6 | 25.0 / 0.8 | 16.7 / 0.5 | 25.0 / 0.4 | 16.7 / 0.3 |
| 300 | 37.5 / 2.3 | 37.5 / 1.2 | 25.0 / 0.8 | 37.5 / 0.6 | 25.0 / 0.4 |
| 400 | 50 / 3.1 | 50.0 / 1.6 | 33.3 / 1.0 | 50.0 / 0.8 | 33.3 / 0.5 |
希望するFineness (微細度)に基づいて、メッシュサイズを以下の表3のように概算できます:
| Fineness | Very coarse | Coarse | Moderate | Fine | Very fine |
| 相対的最小サイズ | 1 | 1/2 | 1/3 | 1/4 | 1/6 |
| 半径 100 \(m\)あたりの最小サイズ | 0.78 | 0.39 | 0.26 | 0.20 | 0.13 |
| 相対セル数近似 | 1 | 2 | 4 | 8 | 16 |
- 明示的に最小セルサイズの設定が必要な場合は、Target sizeオプションを使って定義することもできます。これにより、対象領域内の最小セルサイズが最大でもMinimum cell sizeで指定したサイズと同じかそれ以下になります。正確な値は実行後に表示して確認できます。このオプションは、特定の風力基準(London Wind Microclimate GuidelinesやDutchNEN8100 Wind Standardなど)が要求するセルサイズ要件を満たすことを確認したい場合に特に役立ちます。
- 実際のセル数は、Region of interest (関心領域)の直径(D)、建物の高さ(h)、風洞の大きさ、CAD モデルの複雑さなどの複数の要因に依存します。直径と高さの比率が異なる場合のセル数の概算は、関心領域>詳細設定から大型風洞を選択し、比較的単純なCADモデルを想定した場合、以下のようになります(表4):
| 比率 \(D/h\) | Very coarse | Coarse | Moderate | Fine | Very fine |
| \(D/h=2\) | \(1\times10^6\) | \(12\times10^6\) | \(25\times10^6\) | \(45\times10^6\) | \(100\times10^6\) |
| \(D/h=4\) | \(4\times10^6\) | \(5\times10^6\) | \(12\times10^6\) | \(18\times10^6\) | \(45\times10^6\) |
| \(D/h=10\) | \(1.5\times10^6\) | \(3\times10^6\) | \(7\times10^6\) | \(10\times10^6\) | \(20\times10^6\) |
Reynolds Scaling
Reynolds scaling (レイノルズ相似則)設定は、Mesh設定からアクセスできます。レイノルズ数は\(Re=\frac{UL}{\nu}\)で定義され、\(L\)は基準長さ、\(U\)は流速、\(\nu\)は流体の動粘度です。相似則係数が適用されると、形状を小さくする(\(L\)を小さくする)代わりに、レイノルズ数に一致するように動粘度(\(\nu\))を減少させる必要があります。ただし、レイノルズ数が大きい場合は適用できない場合があります。
ほとんどの都市スケールの流れでは、正確な結果を得るためにReynolds scalingはAutomaticが推奨されます。風洞モデルと同様に、ブラフボディ(ブロックのような建物)と高いレイノルズ数が存在すると仮定してレイノルズ相似を使用します。この場合、大きなレイノルズ数においてもレイノルズ相似則が適用可能になります。この両方の条件を満たす場合、Automaticが効果的です。Reynolds scaling-Automaticは、豊富な専門知識がなくても、正確な結果をより簡単に得ることができます。
上記の仮定外の都市スケールで操作する上級ユーザーは、Manualをご利用いただけます。しかし、壁面モデリングへの影響を十分に考慮する必要があり、文献などで調査することを推奨します。Reynolds scaling factor 1はフルスケールを表し、1/250または1/400は典型的な風洞スケールとして挙げられます。SimScaleのAutomaticは1/10のオーダーです。
Refinement
エントランス部分、高層ビルの間の狭い道路の峡谷、複雑な地形や植生など、特定の領域にさらに焦点を当てる必要があり、これらの領域で局所的なメッシュの細分化が望まれることがあります。
このような場合、Surface refinementまたはRegion refinementを追加することができます。
Surface refinement
Surface refinement (サーフェス細分化)は、特定の建物、またはそのサーフェスやソリッドのセルを細分化する場合に最適です。
このFinenessは、グローバルメッシュ設定と同様に、Very coarseからVery fineまで定義することができます。また、Region of interest (関心領域)内のグローバルメッシュ設定と同じように、Surface refinement (サーフェス細分化)では、最小のセルサイズで4~6層になり、サーフェスからの距離が大きくなるにつれてセルサイズは徐々に大きくなります。
Region refinement
2つの建物の間の領域や、特定の空き領域を細分化する必要がある場合は、Region refinement (領域細分化)が最適です。メッシュを細分化する領域を特定するために、Geometry primitives (ジオメトリプリミティブ)の横の+ボタンクリックし、Local cartesian box (直方体)またはLocal sphere (球形)を作成します。作成したGeometry primitives (ジオメトリプリミティブ)横のスライダーがオンになっていることを確認してください。
Region of interest (関心領域)のサイジングは、グローバルメッシュのサイジングやSurface refinementと同じですが、それらとは対照的に、割り当てられた領域全体を通して最小のセル・サイズが維持されます。
| 注 |
| 一般的に、グローバルメッシュの細かさより1レベル以上細かいローカルメッシュの細分化は、全体的なシミュレーション効率を低下させるので避けることが推奨されています。このような場合、むしろグローバルメッシュのサイズを小さくし、サイズの差を1レベルに制限することをお勧めします。 |