外部流れの空力シミュレーションで設計を最適化するとき、最初に定量化する必要があるのは、テスト対象のボディの抗力です。例えば、飛行機や自動車を解析する場合、主に 揚力、抗力、ピッチモーメントといった3つの支配的な設計パラメータに着目します。この記事では、飛行機を例にピッチ、揚力、抗力係数の解析方法を説明します。
アプローチ
SimScale WorkbenchのResult controlを以下のように設定します。シミュレーションツリー内で、Result control > Forces and moment coefficient に進みます。
Forces and coefficientの設定パネルが表示され、図1に示すようなパラメータが表示されます。必要なパラメータについては後述します:
Center of rotation (回転中心)
回転中心は 一般的に構造物の質量中心と定義されます。シミュレーションプロジェクトによっては、回転中心を異なる座標で定義した方が便利な場合もあります。
Lift direction ・ Drag direction (揚力方向・抗力方向)
座標系に応じて、揚力と抗力の方向を指定する必要があります。上の図が示すように、抗力は機体を引き戻します。この例では、抗力は正のx方向にあります。そのため、 Drag direction dx の値を1に設定する必要があります。従って、 Lift方向を見ると、 dy は1に設定され、 Pitch axisはこの場合z軸に対応します。
Freestream velocity (自由流れ速度)
Freestream velocityは、ほとんどの場合、飛行機や乗り物の速度にあたります。シミュレーションのために、ここで流入速度を選択できます。
Reference length ・ Reference area value (基準長さ・基準面積)
ピッチ係数を解析するために、 Reference length (基準長さ)が必要です。 比較するために、すべての計算で同じ値を取ることが重要です。この例では翼幅です。
Reference area value (基準面積)は揚力と抗力係数を計算するために重要です。業界や用途によって、一般的に異なる面積が使用されます。一例として、抗力係数を計算するための基準面積として最も使用されるのは正面面積です。しかし、翼面積を基準面積として使用することも可能で、これは揚力係数に興味がある場合によく使用されます。比較のためにすべての計算に同じ値を使用するようにしてください。
| 注意 |
| Reference length (基準長さ)もReference area value (参照面積)も特定のケースで変わる可能性があります。ご自分の用途に合うものを採用してください。 |
Assigned faces (割り当てられた面)
係数を分析したい面を選んでください。主翼や尾翼のような特定の部品のみ、またはアセンブリ全体に対して行うことができます。
係数の計算
シミュレーション結果には、次のような時間(定常解析では反復回数)の関数としての量のプロットが表示されます:
以下の量の曲線が含まれています:
- Lift coefficient (揚力係数): 動圧に基準面積値を乗じた基準力に対する揚力の正規化。これは以下のように計算されます:
$$ Cl = \frac{ \vec{F}_{tot} \cdot \vec{l} }{ A_{ref}\ p_{Dyn} }$$
- Drag coefficient (抗力): 抗力の基準力に対する正規化。
$$ Cd = \frac{ \vec{F}_{tot} \cdot \vec{d} }{ A_{ref}\ p_{Dyn} } $$
- Moment coefficient (モーメント係数): ピッチ軸周りの全モーメントを基準力に基準長さを乗じた値で正規化。
$$ Cm = \frac{ \vec{M}_{tot} \cdot \vec{p} }{ A_{ref}\ L_{ref}\ p_{Dyn} } $$
- Front lift coefficient (前方揚力係数): (正規化された)物体の前半分に作用する揚力。
$$ Cl(f) = \frac{ Cl }{ 2 } + Cm $$
- Rear lift coefficient (後方揚力係数): (正規化された)物体の後半分に作用する揚力。
$$ Cl(r) = \frac{ Cl }{ 2 } – Cm $$
ここで
- \( \vec{F}_{tot} \) は全力ベクトル
- \( \vec{M}_{tot} \) は全モーメントベクトル
- \( \vec{l} \) は揚力方向ベクトル
- \( \vec{d} \) は抗力方向ベクトル
- \( \vec{p} \) はピッチ方向ベクトル
- \( A_{ref} \) は基準面積値
- \( L_{ref} \) は基準長さ
- \( p_{Dyn} = \frac{1}{2} \rho | U_{\infty} |^2 \) は動圧
- \( \rho \) は流体密度
- \( U_{\infty} \) は自由流れ速度
地上車両の空力学では、前方揚力係数Cl(f)と後方揚力係数Cl(r)を用いて、それぞれ前方車軸と後方車軸に作用するダウンフォースを求めることができます:
$$ F_F = Cl(f) F_{REF} = Cl(f) A_{REF} p_{Dyn} $$
$$ F_R = Cl(r) F_{REF} = Cl(r) A_{REF} p_{Dyn} $$