Incompressible LBM (非圧縮LBM)ソルバーには3種類の出力形式があります: Transient output (非定常出力)、Statistical averaging (統計的平均)、Snapshot (スナップショット)です。これらのうち、Transient output (非定常出力)は時間経過による様子を出力する唯一の方法です。そのため、Transient output (非定常出力)で使用される時間ステップサイズを知っておくことが重要です。
この値は、Transient output (非定常出力)にあるWrite control (書込み制御)とFraction from end (終了からの割合)の2つのパラメータによって制御されます:
Fraction from end (終了からの割合)は 、 Simulation controlで設定したEnd timeから書き込む時間を指定します。例えばEnd timeが100秒のとき、図1のようにFraction from end (終了からの割合)を0.2とすると、80~100秒の全体の20%の時間が書き込まれます。
一方、Write control (書込み制御)は、時間ステップサイズを決定します。 Manualに設定すると、ステップサイズを直接入力できます。そのほかのCoarse resolutionなどの自動設定を使用する場合、ステップサイズはシミュレーション時間ステップの割合として計算されます。
時間ステップサイズの計算
Transient output (非定常出力)の自動時間ステップサイズは、以下の式で計算されます:
$$ \Delta t_{out} = \Delta t_{sim, max} \cdot c_{res} \tag{1} $$
ここで
- \( \Delta t_{sim, max} \): シミュレーションで使用される最大時間ステップサイズ
- \( \Delta t_{out} \): Transient output (非定常出力)の時間ステップサイズ
- \( c_{res} \): 分解能係数で、表1に示されています
| Write control | 分解能係数 |
| Coarse resolution (低分解能) | 8 |
| Moderate resolution (中分解能) | 4 |
| High resolution (高分解能) | 2 |
シミュレーションの時間ステップサイズは、メッシュサイズの関数として計算されます:
$$ \Delta t_{sim} = \frac{ h }{ 10 U_{ref} } \tag{2} $$
ここで
- \( h \): 最小または最大のセルサイズ
- \( U_{ref} \): 流入口面で適用される基準流速
ソルバーが、対応するセルサイズに基づいて最小と最大の時間ステップを決定することが重要です。Transient output (非定常出力)では、 最大時間ステップが出力ステップサイズの計算のベースとして使用されます。
セルサイズの決定
セルサイズは、参照長さおよびメッシュ設定で指定されたFineness (細かさ)により決定します。 以下はMesh settingsをAutomatic (自動)とした場合です:
$$ h_{max} = \frac{ L_{ref} }{ n } \tag{3} $$
$$ h_{min} = \frac{ h_{max} }{ 2^{m} } \tag{4} $$
ここで
- \( L_{ref} \): Mesh settingsで指定された、または自動的に計算された基準長さ
- \( n \): 長さあたりのセル数 (下表参照)
- \( m \): 細分化レベル数 (下表参照)
\(n\) および\(m\)は表2に従って Finenessパラメータから定義されます:
| Fineness | 長さあたりのセル数 \(n\) | 細分化レベル数\(m\) |
| Very coarse (非常に粗い) | 16 | 4 |
| Coarse (粗い) | 16 | 5 |
| Moderate (中程度) | 24 | 5 |
| Fine (細かい) | 16 | 6 |
| Very fine (非常に細かい) | 24 | 6 |
計算例
計算を実証するために、以下のパラメータを持つケースを想定してみましょう:
- 基準長さ\( L_{ref} = 200\ m \)
- 入口速度\( U_{ref} = 10\ m/s \)
- メッシュのFinenessは Coarse
- Transient output (非定常出力)のWrite control (書き込み制御)はCoarse resolution (中分解能)
次に計算に進みます:
表2より、長さあたりのセル数\( n = 16 \) 、細分化レベル数\( m = 5 \)
最大セルサイズは式 3 から計算されます:
$$ h_{max} = \frac{ 200\ m }{ 16 } = 12.5\ m $$
最小セルサイズは式4から計算されます:
$$ h_{min} = \frac{ 12.5\ m }{ 2^5 } = 0.391\ m $$
シミュレーションの時間ステップサイズの範囲は次のようになります:
$$ \Delta t_{sim, min} = \frac{ 0.391\ m }{ 10 (10\ m/s) } = 3.91\ ms $$
$$ \Delta t_{sim, max} = \frac{ 12.5\ m }{ 10 (10\ m/s) } = 0.125\ s $$
表1から、分解能係数は\( c_{res} = 8 \)
最後に、出力時間ステップは最大時間ステップサイズから計算されます:
$$ \Delta t_{out} = (0.125\ s)(8) = 1\ s $$