概要
Pedestrian Wind Comfort (歩行者風の快適性)シミュレーションを設定する際、Wind conditions (風況)条件は重要です。その定義は、風の流れの特性を記述する境界条件を制御します。シミュレーション設定のこの部分では、2つの要素があります。速度方向と頻度を含む風条件そのものと、風暴露です。これらについては、次のドキュメントで詳しく説明します。
Wind conditions (風況)の定義
風況の定義には2つの方法があります。.statファイルとしてデータをアップロードする方法(外部ソースから風況データをダウンロードする一般的な方法)と、 meteoblueで接続されたデータベースから位置情報に基づいて自動的にアクセスする方法です。いずれの方法でも、まず位置を入力します。これが正確であればあるほど、meteoblueからインポートする場合、より正確な気象データを提供することができます。
EN1991-1-4 (イギリスを含むヨーロッパの標準)、 AS/NZS 1170.2 (オーストラリアとニュージーランドの標準)、 NEN8100 (オランダの標準)、 London Microclimate (ロンドン市のために特別に設計されたもの)があります。(日本向けの日本建築学会標準も近く搭載予定です)
EN 1991-1-4と AS/NZS 1170.2の両規格とも、ユーザーは*.statファイルをアップロードするか、利用可能なmeteoblueデータベースからデータを選択することができます。
| 注 |
| "meteoblue気候図は30年間の毎時気象モデルシミュレーションに基づいており、地球上のすべての場所で利用可能です。これらは、典型的な気候パターンと予想される条件(気温、降水量、日照、風)を示しています。シミュレーションされた気象データの空間分解能は約30kmであり、雷雨、局地的な風、竜巻など、すべての局地的な気象効果を再現しているわけではありません。"\(^1\) |
NEN 8100 規格の場合、ユーザーは政府が提供する NPR 6097:2006 プログラムから直接テキスト形式(*.text、*.txt)のデータを手動でアップロードする必要がありますが、 ロンドン市風微気候ガイドラインの 場合は、規格に使用する風データがすでに含まれているため、データのアップロードは必要ありません。
| 重要 |
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EN 1991-1-4 または AS/NZS 1170.2 規格を使用する場合、最大36の風向を手動でアップロードすることができますが、 NEN 8100では 12までとなります。 meteoblueからデータをインポートする場合、この制限は16に減少します。 London Microclimateでは 、最大36の風向を確認できます。 |
風向データをアップロードするには、アップロードファイルのプロンプトに従い、ローカルハードディスクにあるファイルを選択するだけです。詳しいガイドは こちら を参照してください。接続されたデータを使用するには、 Import wind data (下図でハイライトしています)を選択し、自動的に風況が読み込まれます。
データをインポートすると、SimScaleは風向の数を指定した数(最小1方向)に減らすことができます。風向を多く定義すると、使用するシミュレーションリソースが多くなり、不要な場合はコストが上昇するため、これは重要です。例えば、建築設計の初期段階における基本的な解析では、2方向または4方向しか必要ないかもしれませんが、都市計画の証拠を議会に提出する場合には、16方向または36方向が必要になるかもしれません。最小の解析は北に配置された1方向です。
表面粗さ
表面粗さは、Add surface roughness オプションをオンにすることで、 Region of Interest (関心領域) の外側にも適用することができます。さらに、PWCシミュレーションツリーの Advanced modelling で、特定の面や体積に表面粗さを追加することもできます。詳しくは こちら をご覧ください。
表面粗さは風の快適性の結果に大きな影響を与えます。詳しくはこちらのナレッジベースの記事をご覧ください:
地表粗度区分 (風の暴露量の設定)
Wind Expousresとは、特定の地形特性の存在によって風速がどのように変化するかをコントロールするものです。地形が異なると、一般的に大気境界層と呼ばれる地面に対する垂直方向の速度勾配が異なります。例えば、ロンドン市内の地域をシミュレートする場合は、全方向を Urban area (市街地)とし、フロリダ州マイアミのような沿岸都市をシミュレートする場合は、一部の方向をCoastal area (沿岸地域)とし、残りの方向をUrban area (市街地)またはSuburban area (郊外地域)とします。
SimScaleでは、すべての方向で暴露量を制御できます。
下図のように、Wind conditions 空間内のドロップダウンボックスで露出を定義できます:
暴露の設定がいかに重要であるかを理解するために、 EN 1991-1-4 規格を使用した暴露カテゴリー別の大気境界層を示す以下のプロットをご覧ください。
上図は、Pedestrian Wind Comfortで適用する必要がある大気境界層プロファイルを示しています。沿岸の風は粗さが小さいため、プロファイルは急峻であり、したがって10mの高さではすでに最高速度にかなり近づいています。
風の快適性の計算では、沿岸地域から吹いてきた風が都市部などに到達する際に減速することを考慮します。これは「暴露補正係数」と呼ばれます。この係数は速度プロファイルをスケールダウンします。
沿岸部の風に対する暴露補正係数は1.1432で、都市部の風に対する暴露補正係数は0.6803です。従って、沿岸部から都市部に向かう場合、高さ10メートルでの風速は0.6803/1.1432=0.595倍減少します。
大気境界層
CFDモデリングにおいて、大気境界層は建物周辺の流れや建物近傍の拡散問題をモデリングする上で重要な要素です。これは、建築、PWC、都市計画などのアプリケーションに関連する可能性があります。以下の資料では、SimScaleの歩行者風快適性シミュレーションタイプでサポートされている風工学規格に準拠したABLプロファイルの生成方法について説明します。