概要
Initial conditions (初期条件)により、ユーザーは系の様々なパラメータの初期値を設定することができます。初期化できる項目は、解析タイプ、物理モデル、および時間依存性によって異なります。
シミュレーションの初期条件を設定するには、シミュレーションツリーのInitial conditionsタブに移動します。タブを展開すると、初期化設定が可能な項目が表示されます。
一つ一つの項目を見る前に、Intial conditionsの設定がSteady-state(定常)またはTransient(非定常)シミュレーションにどのような影響を与えるかをご紹介します。
Time dependency (時間依存性)
Initial conditionsは、それぞれの解の初期値を定義(初期化)します。したがって、Steady-state(定常)シミュレーションの安定性と計算時間において重要です。Steady-state(定常)シミュレーションの収束率をよくするためには、シミュレーションによって最終的に得られる値に近い値の設定が望まれます。
Transient(非定常)解析の場合、Initial conditionsの設定は極めて重要です。初期条件は、時間がゼロに等しいときのシステムの状態を定義し、シミュレーションで大きな役割を果たします。例えば、金属片の非定常冷却効果を解析する場合、金属片を350Kで初期化するか、800Kで初期化するかで大きな違いが生じます。
シミュレーションのTime dependency (時間依存性)の定義は、グローバル設定で設定します:
初期化方法
SimScaleでは、ドメインの初期化には主にグローバル初期化とサブドメイン初期化の2つの方法があります。
グローバル初期化
名前の通り、グローバル初期化は初期条件をドメイン全体に適用します。
グローバル初期化は、最も一般的に使用される初期化タイプです。しかし、シミュレーションによっては、ドメインの一部を別の値で初期化することもあります。このような場合、サブドメイン初期化が非常に便利です。
サブドメイン初期化
ユーザーはSubdomainsタブから任意のドメイン(サブドメイン)のみを初期化することができます。サブドメイン初期化はグローバル初期化よりも優先されます。(グローバル初期化されたドメイン内に、サブドメイン初期化されたサブドメインがある場合、そのサブドメインはサブドメイン初期化が適用されます):
サブドメインは、Geometry primitive (ジオメトリプリミティブ)を使用するか、モデルのボリュームを割り当てて定義することができます。サブドメイン初期化の詳細については、こちらのチュートリアルを参照してください。
以下では、SimScaleで初期化できる全てのパラメータについて説明します。これらの設定項目は解析タイプやシミュレーションの物理モデルによって異なりますのでご注意ください。
Initial conditionsの種類
解析タイプや物理モデルに応じて、SimScaleは異なるパラメータの初期化を必要とします。以下にSimScaleの流体解析で設定可能なすべてのパラメータを示します。
Pressure (圧力)
圧力の初期化はグローバル初期化のみ可能です。入力される圧力は、解析タイプによって異なる場合があります。例えば、Incompressible (非圧縮)ではGauge pressure (ゲージ圧)が必要ですが、Conjugate heat transfer (共役熱伝達)シミュレーションではAbsolute modified pressure (絶対修正圧)が必要です。
Velocity (速度)
速度は、グローバル初期化とサブドメイン初期化の両方で設定できます。
いくつかの解析タイプでは、Potential flow initialization (ポテンシャル流れ初期化)という速度初期化も設定することができます。この設定は、速度場をポテンシャル流れで初期化し、安定性を高めることができます。
乱流パラメータ
Turbulent kinetic energy\((k)\) (乱流運動エネルギー)、Specific dissipation rate\((\omega)\) (比散逸率)、Dissiation rete\((\epsilon)\) (散逸率)は、ドメイン内の乱流レベルに関係します。記号の通り、これらのパラメータはグローバルl設定でk-epsilon、k-omega、またはk-omega SST乱流モデルを使用している場合にのみ初期化で使用できます。
初期化に関しては、k-omega、k-omega SST乱流モデルでは、\((k)\)と\((\omega)\)が、k-epsilon乱流モデルでは、\((k)\)と\((\epsilon)\)が必要です。このページ(英語)では乱流パラメータのグローバル初期化に関する経験則を紹介しています。
\((\tilde{\nu})\) nuTilda
LES Spalart-Allmaras乱流モデル専用のパラメータで、修正乱流粘性率とも呼ばれます。このページ(英語)では、nuTildaの初期化の経験則を紹介します。
Passive scalar1 (パッシブスカラー1)
パッシブスカラー初期化は、パッシブスカラー輸送モデルに関連しており、Incompressible(非圧縮性)およびConvective heat transfer (対流熱伝達)解析に利用できます。サブドメイン初期化とグローバル初期化の両方が利用できます。
Temperature (温度)
Convective heat transfer (対流熱伝達)やConjugate heat transfer (共役熱伝達)のような解析タイプによっては、温度の初期化が必要な場合があります。これはグローバル初期化とサブドメイン初期化の両方で利用できます。Steady-state(定常)状態のシミュレーションでは、最終的に計算によって得られる値に近い値を設定することが望まれます。
\((\alpha_t)\) Turbulent thermal diffusivity (乱流熱拡散率)
乱流熱拡散率\(\alpha_{t}\)は、乱流パラメータ、密度、熱物性値から自動計算されるパラメータです。
温度を伴う分析タイプでは、グローバル初期化で利用できます。
Eddy viscosity (渦粘度)
CFDでは、渦粘度には大きく分けて、乱流動粘度(別名: \(\mu_t\))と乱流粘度(別名: \(\nu_t\))の2種類があります。
SimScaleでは、渦粘度は常に乱流動粘度を指し、式(1)で計算できます:
\[Eddy\ viscosity = \frac{\rho k}{\omega}\tag{1}\]
ここで、\(\rho\)は流体の密度、\(k\)は乱流運動エネルギー、\(\omega\)は比散逸率です。
Phase fraction (相分割)
相分割初期化は、Multiphase (混相流)解析タイプ専用です。この設定により、ユーザーはシミュレーションされる両方の相に対してグローバル初期化またはサブドメイン初期化を定義することができます。