概要
Power sources (熱源モデル)は、ボリュームからの発熱を再現するために使用できます。例えば、回路基板上のチップから発生する熱をモデル化する場合などです。
SimScaleは現在、以下の3つの解析タイプでPower sources (熱源モデル)をサポートしています:
- Convective heat transfer (対流熱伝達)
- Conjugate heat transfer v2.0 (共役熱伝達解析 v2.0)
- Conjugate heat transfer (IBM) (埋め込み境界法による共役熱伝達)
利用するための準備
Power sources (熱源モデル)は以下のいずれかの方法でボリュームに割り当てる必要があります:
- CAD部品を指定する。 ( Convective heat transfer はCAD部品(固体材料)を含まないため、これは Conjugate heat transfer にのみ適用されます)
- Geometry primitives (ジオメトリプリミティブ)でCartesian box (直方体)、Sphere (球)、Cylinder (円柱)のいずれかで任意の領域を指定する。
- 任意の形状のセルゾーンを指定する。セルゾーンについて詳しくはこちらのページをご覧ください。
発熱量の定義には、ワット\((W)\)とイギリスの熱量単位である\((Btu/s)\)が利用可能です。
設定方法
シミュレーション・ツリーで Advanced Conceptsに移動し、Power sources (熱源モデル)の横の+ボタンをクリックしてAbsolute power sources (絶対熱源モデル)またはSpecific power sources (特定熱源モデル)を追加します。
熱源となる領域の割り当ては、Assigned Volumesで任意のボリュームの選択、またはGeometry primitivesで設定できます。
それぞれの設定種類における、概要と設定項目を説明します。
Absolute power sources (絶対熱源モデル)
このタイプは、発熱体によって放出される熱量の総和が既知である場合に使用します。
- Power source value: 発熱量・電力[\W\]の値を入力します。
- Assigned Volumes: CAD部品へ割り当てる場合はここで選択します。
- Geometry primitives: ジオメトリプリミティブ機能で割り当てる領域を作成・指定できます。
| 重要 |
| 複数の領域にPower sources (熱源モデル)が割り当てられている場合、各エンティティは所定の熱量を発生します。例えば、100\(W\)の熱源を2つの領域に割り当てると、それぞれが100\(W\)発生します。 |
Specific power sources (特定熱源モデル)
このタイプは、電力密度が既知の場合に使用します。電力密度は、単位体積あたりの総電力量であり、単位は\(W/m^3\)または\(Btu/(s \cdot in^3)\)です。この値は、電池や燃料電池でよく用いられています。
- Power source value: 発熱量・電力の密度[\(W/m^3\)]を入力します。
- Assigned Volumes: CAD部品へ割り当てる場合はここで選択します。
- Geometry primitives: ジオメトリプリミティブ機能で割り当てる領域を作成・指定できます。
| 注 |
| Power source valueに負の値を割り当てると、システムから熱を取り出すヒートシンクとして作用します。 |
| ご存知でしたか? |
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Power sources (熱源モデル)ではSimScaleのパラメータスタディ機能が対応しています。パラメトリックスタディのターゲットとする発熱量を定義するには、下図のボタンをクリックします: 図3: パラメータスタディでは、異なる熱源の値で複数のシミュレーションを並行して実行できる パラメータスタディの設定について詳細は、こちらのページをご覧ください。 |
Heat Exchanger
このモデルでは、解析対象である流体の温度と"熱交換器"の温度差を用いて、熱源の熱量を算出します。この熱源タイプのメリットは、系に流入する熱量を熱交換機介するかのように制限できることであります。具体的には、熱源からの熱量が流速に依存するため、空間的に一様ではなくなるヒートシンクといった対象に適しています。
熱交換器モデルを使用する際には、2つの異なるオプションが利用可能です。1つは熱伝達係数に基づくもの (Heat transfer coefficient)であり、もう1つは熱交換器の性能 (Heat exchanger performance) に基づいています。また、熱の分布は局所的な条件または平均的な条件に基づいてモデル化できます。それぞれ、 Heat exchanger type と Heat distribution より設定できます。
Heat Transfer Coefficient Model (熱伝達係数モデル)
熱伝達係数 \(h [W/m^(2)K\) を用いて設定します。伝達される熱量は、次式より計算されます。
\(Q = h(\rho V)(T_r - T)\)
ここで、\(Q [W]\) は熱源の熱量、\(h [W/m^2K]\) は熱伝達係数、\(\rho [1/m]\) は伝熱面積を体積で除した表面積密度、\(V [m^3]\)は体積、\(T_r [K]\)は参照温度、\(T [K]\)は温度です。
このうち、VとTは自動で求められるため、その他のパラメータを設定します。
-
Reference temperature: 参照温度 \(T_r [K]\)
- 熱交換器の稼働温度(冷却液の温度など)
-
Heat transfer coefficient: 熱伝達係数 \(h [W/m^{2}K\)
- テーブルで入力することも可能です。
-
Surface area density: 表面積密度 \(\rho [1/m]\)
- 伝熱面積と体積の比率
-
Heat distribution: 熱分布を計算する際の温度Tの取り扱い方法
- Local: 温度Tとして、局所の温度を用います。
- Average: ボリューム全体での平均温度を用います。
Heat Exchanger Performance Model (熱交換器性能モデル)
熱交換器全体の伝熱性能より、熱量を求めます。
\(Q = P(T_r - T)\)
ここで、\(P [W/K]\)は、総括伝熱係数を伝熱面積で除した値です。
以下の項目を設定します。
-
Reference temperature: 参照温度 \(T_r [K]\)
- 熱交換器の稼働温度(冷却液の温度など)
-
Heat exchanger performance: 熱交換器の性能パラメータ \(P [W/K])
- 総括伝熱係数を伝熱面積で除した値
関連プロジェクト
- チュートリアル:電子機器筐体内の空冷解析
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