SimScaleに統合されたオンラインポストプロセッサは、すべてのプロジェクトおよび作成したシミュレーションに対応しています。
このページでは、SimScaleのポストプロセッサについて詳しく説明します。ここではわかりやすいように、シンプルなパイプを通る流体の流れを例にして、実際のシミュレーションと機能を関連付けて説明します。
説明に使用されている解析結果を用いてポストプロセッサの設定を試されたい場合は、以下のサンプルプロジェクトを開いてください:
ポストプロセッサの概要
ポストプロセッサを立ち上げる
まず、シミュレーションが成功し結果が得られると、実行ダイアログボックスに Post-process results ボタンが表示されます。このボタンをクリックするか、 シミュレーションツリーでSolution Fieldsを選択すると、オンラインポストプロセッサで結果が表示されます。
| 注 |
| 結果は、 ウェブブラウザのワークベンチを開いたタブにいるときのみロードされます。 結果のロード時間はデータサイズに依存し、データが大きいほど、結果のロードに時間がかかります。 |
ポストプロセッサの画面
ポスト処理環境には、結果の視覚的表示を設定するためのいくつかの機能とフィルタがあります。(SimScaleでは結果の可視化設定を Filter (フィルタ) と呼びます。)
下図にポストプロセッサの概要を示します:
- フィルターツール (FILTERS): 切断面やパーティクルトレースなど多くのフィルターがポスト処理環境で利用できます。結果をより深く理解するのに役立ちます。
- 追加ツール (VIEW, COMPARE, CAPTURE, RESULT): フィルターツールの右側には、 Screenshot (スクリーンショット)や Inspect point (検証点)などの便利なツールがあります。
- フィルタを作成すると、 Filters ボックスにリストされます。Filters ボックスでは、各フィルターの設定をしたり、フィルターの設定を複製したり、既存のフィルターを削除することができます。
- 表示モード、選択タイプ: ここでは、ジオメトリの表示モードを変更したり、選択モードをSelect volumeとSelect faceから選択することができます。Select volumeの場合は、ジオメトリをクリックしたときボリュームが選択され、Select surfaceの場合は、面が選択されます。
- ビューア : ここで結果を確認できます。ビューアを右クリックすると、一連のクイック選択ツールにアクセスできます。
- フレーム選択ツール: この機能は主に非定常(Transient)シミュレーションで役に立ちます。任意の保存された結果のステップを選択し、表示することができます。
- 右下のオリエンテーションキューブは 、表示方向をきれいに調整したいときに役立ちます。ホームアイコンは、画面にフィットするようにモデルの表示を調整します。
| 重要 |
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Filtersボックスについては、以下の点に注意してください:
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ポスト処理ツール
凡例
ポストプロセッサの上部バーでは、下図のように凡例の表示/非表示を選択できます:
FiltersボックスのColoringで選択する凡例と、ビューアの下部のスケールバーの凡例は共通しています。どちらかを変更するともう一方も自動で変更されます。
スケールバーは、表示範囲、単位、分割数など、高度なカスタマイズが可能です。図4に詳細を示します:
- スケール範囲の最小値をクリックすると、カスタム値を設定できます。
- 同様に、範囲の最大値も変更できます。
- パラメータ名の横にあるドロップダウンメニューで、目盛りに表示する単位を変更できます。
- スケールを右クリックすると、Color scheme (配色)、Division number (スケール分割数)、Scale to full range (フルレンジに戻す: スケールバーの最大・最小値を全結果の最大・最小値と合わせる)、Use continuous scale (連続スケールの使用)を変更することができます。
目盛りの分割数は、デフォルトでは20です。これを変更するには、スケールバーを右クリックし、それに応じてDivision numberを調整します。
| ご存知でしたか? |
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凡例の最小値と最大値を手動で変更すると、新しい範囲が永続的に維持されます。つまり、アニメーションの実行、異なるステップの実行、新しいフィルタの作成、パーツの表示/非表示、さらにはポストプロセッサを終了/再開しても、手動で定義した最小値と最大値が維持されます。 フルレンジに戻すには、上図のように、凡例を右クリックしてScale to full rangeを選択します。 |
Statistics と Inspect point
Inspect point機能は、サーフェスの特定のポイントの値を得るのに便利です。たとえば、上部の流入口で速度の大きさを知りたい場合などがあげられます:
- 上部ツールバーの Inspect point トグルを有効にします。
- 上部の流入口の面内の任意の点をクリックします。この場合、流入口の面内は境界条件によって定義された速度1\(m/s\) で一様になっています。
もう1つの非常に便利なオプションは、Statisticsです。このオプションがオンの場合、面、ボリューム、断面 (Cutting planeと同時に使用する場合)に関する詳細な情報を得ることができます。
例えば、Statistics機能を使用すると、流出口の速度の大きさの平均を簡単に得ることができます。図7にその手順を示します:
- ツールバーで Statistics をクリックしてオンにします。
- Select faceオプションを有効にします。 Inspect pointのトグルがオンになっている場合、面を選択するにはこれを無効にする必要があります。
- 流出口面をクリックして選択します。ビューアにボックスが表示され、Surface Area (表面積)、Maximum (最大値)、Average (平均値)、Minimum (最小値)、Integral (積分値)および選択したパラメータに関連する追加情報が表示されます。
- Highlight in Model をオンにすると、最大値と最小値のポイントがジオメトリ上で表示されます。
Statisticsフィルタによって表示される情報はソルバーや解析条件の設定によって異なることに注意してください。ボックスを消すには、再度ツールバーで Statisticsをクリックしてオフに切り替えます。
視覚化と選択モード
選択モードは、ジオメトリの表示形式を素早く選択、変更するためのものです。ビューア上で右クリックすると、多くのクイック選択オプションが表示されます。選択部分を隠す(Hide selection)などのオプションがあります。
選択部分を非表示にする機能は、外部流れシミュレーションのような対象領域の周囲を覆うものがある場合に特に便利です。パーツを再び表示するには、ビューア上で右クリックし、 Show allを選択します。
カラーリングの変更
SimScaleでは、ジオメトリのカラーリングをそれぞれ面やボリュームで指定して設定することができます。これにより、結果をより分かりやすく可視化したり、プレゼンテーションやマーケティング用の効果的な画像を作成したりすることができます。
アクティブな選択モードに応じて、単一または複数の面または体積に色を付けることができます。面またはボリュームの選択後、ビューアで右クリックして選択パネルを開きます。オプションリストの最後に、以下のカラー機能が表示されます:
- Eidt color (カラーの編集) : 選択した面またはボリュームにカスタムカラーを設定します。
- Reset color (カラーをリセット): 選択した面またはボリュームのカスタムカラーをリセットします。
- Reset all colors (すべてのカラーをリセット) : 面またはボリュームのすべてのカスタムカラーをリセットします。
Edit Color を選択すると、カラーを調整するための以下のオプションが開きます。
- カラーフィールド内でカスタムカラーを選択し、スライダを使用して色と透明度を調整する。
- Hex-Codを入力するか、RGB、およびアルファ値 (A)を入力する。
- 定義済みの色から選択する。
| ご存知でしたか? |
| すべての色は、RGB (赤、緑、青)の組み合わせによって作成できます。モニターは赤、緑、青の小さなLEDのパターンを使用します。各LEDは1バイトで制御され、0~255の値を持つことができます。したがって、RGBの値を設定することで、それぞれのLEDの明るさが設定され、希望の色が作られます。 |
Cutting Plane
様々なフィルタの設定を試す場合は、以下のサンプルプロジェクトを開いてください:
Cutting Planeフィルタを使うと、領域をスライスして、平面上の注目するパラメータを可視化できます。速度ベクトルのプロットなどの追加オプションも利用できます。
新しいフィルターを作成するには、Filters ボックスで目的のオプションを選択します:
Statistics ツールと組み合わせてCutting Planeを使用することができます。Statisticsを有効にすると、Cutting Plane全体と各サブ領域の平均、最小、最大結果が表示されます。例えば、上の画像では、Cutting Planeはドメインを分割するときに2つのサブ領域を生成します。Statisticsを有効にすると、次のようになります:
上に示したように、各サブ領域からのデータを、数値データと各サブ領域の中心点の座標を含む.csvファイルとしてダウンロードすることができます。この機能は、複数のチャンネル間の結果を並行して比較するときに特に便利です。Statisticsボックスを表示しないようにするには、 Statisticsを無効にします。
Cutting Planeは高度にカスタマイズできます。たとえば、 Orientation/ Position (方向/位置) 、 Opacity (不透明度) 、Vectors (ベクトルの表示) 、Cutting Plane のカラーリングオプションなどを定義できます。
画面右下のオリエンテーション・キューブを基準としてCutting Planeの位置と向きをきれいに調整することができます。切断面にベクトルを追加するには、次のようにします:
| ご存知でしたか? |
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フィルタパネルには、図14のようなオプションがあります。
図14: フィルタの複製、非表示、削除などのオプションがあります。
1.フィルター名のすぐ右にあるアイコンをクリックすると、そのフィルターを複製できます。 |
Iso Surface と Iso Volume
Iso Surfaceフィルタは与えられた変数値にマッチするセルを表示するのに便利です。例えば、速度の大きさがちょうど 1\(m/s\) である場所を見つけるには、次のような設定で Iso Surfaceフィルタを作成します:
Iso scalarとIso valueを設定して、ユーザーはセルをハイライトする基準を決めます。 Coloringでは 、基準を満たすセルのパラメータカラーを選択できます。
Iso volume フィルター も同じように機能します。ただし、単一のIso valueを 定義する代わりに、ユーザーはセルを強調するIso valueの範囲を 定義します。
例えば、ゲージ圧レベルが -2000 ~ -100\(Pa\) の領域をハイライトするには、次のようにします:
ハイライトされた領域がどこであるかをより明確に見るには、Parts ColorにOpacity (透明度)を設定します。下の画像はその詳細を示しています:
Particle Trace
Particle Trace (流跡線)フィルターはシード面から流線を生成します。渦領域や流動を観察し、設計を改善するのに役立ちます。
Particle Traceの設定は非常に簡単です。Particle Traceをクリックしフィルタを作成した後、ユーザーはシード面を選択し、そこから流跡線が生成されます。ほとんどの場合、流入口もしくは流出口にシード面を設定します。新しいプロジェクトを作成する際に選択した単位系によって、位置決めやSpacing値の単位はメートル(メートル法)またはインチ(インペリアル法)になります。 Pick Positionを有効にすると、図 18のように、流入口の 1 つをシード面として選択できるようになります:
最初のParticle Traceフィルターを複製して、一番上の流入口から2つ目の流跡線を設定することができます:
| ご存知でしたか? |
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Particle Traceフィルターは 高度にカスタマイズ可能で、以下の設定が可能です:
図20: この設定では、Comets (断続的な円柱)の5つのグループ(またはパルス)がドメインに表示されます。各円柱の長さは、その速度とRelative comet lengthによって制御されます。 |
Rotational View
Rotational View (回転ビュー)では 、タービン翼(カスケードブレード)間のビューを作成することで、回転領域を検証することができます。このフィルターでは、回転領域を通して、円筒形または円形の切断面を展開した長方形の2Dビューを表示することもできます。
Rotational Viewを作成するには、Rtationalをクリックして新しいフィルターを追加します。フィールド値の表現には、Circular (円形)かCylindrical (円筒形)かを切り替えることができます。Circular (円形)の場合、サーフェスのPosition (位置)とSpan (領域の大きさ)を定義して、回転するジオメトリの特定のポイントに断面を作成します。また、ベクトルを表示したり、モデルをクリップしたり、生成されたメッシュを面上に表示することもできます。
Cylindrical (円筒形)ビューを選択すると、円筒切断面がフィールドに表示されます。中心は回転領域の回転軸に自動的に合わせられますが、円柱の半径と垂直方向の位置はユーザーが調整できます。
2Dビューの表示
さらに、Circular (円形)またはCylindrical (円筒形)の表面を2次元の長方形の表面に展開して、各ブレードを並べて表示することも可能です。このビューはカスケードビューと呼ばれます。カスケードビューは、ターボ機械の設計者やエンジニアが、再循環、流れの分離、圧力、吸引などのブレード近傍の流れプロファイルを解析し、コンプレッサ、ポンプ、またはタービンを通過する流れを理解するために活用しています。
このカスケードビューの例を以下に示します。このビューでは、カーソル位置に基づくフィールド関数の値が上部に表示されます。
Animation
Animation (アニメーション)フィルタは2つの場面でよく使われます:
- Particle Traceフィルタとの組み合わせ
- Transient (非定常)解析の結果をアニメーション化する場合
Animation TypeをParticle Traceに設定したら、Playボタンをクリックするだけで、流跡線のアニメーションが生成されます。アニメーションのフレーム数を制御するために、 Stepsでアニメーション化するステップ数を変更することができます。
Animationの保存
Animationを作成した後、SimScaleでGIFを生成できます。これを行うには、 Recordフィルターを作成し、Format (MP4もしくはGIFの生成形式)、Width (横幅)、Height (縦幅)を設定しRecord animation を押します。
アニメーションのレンダリング終了後、シミュレーション実行のツリー/Solution Fieldsで可視化/ダウンロードできます。
Record フィルタは現在ベータテスト中です。
| 重要 |
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以下の場合、Recordオプションは使用できません(グレーアウトして表示されます):
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Field Calculator (ベータ版)
現在 ベータ版のField Calculatorフィルターにより、ユーザーはフィールド、関数、演算子を使用して、ポスト処理に使用する新しいフィールドを得ることができます。
例えば、Field Calculatorフィルタを使用して、パイプ内部の合計ゲージ圧を求めることができます:
- Field Calculatorをクリックして新しいフィルターを作成します。
- Name には計算する新しいフィールドの任意の名前を指定します(例: Total gauge pressure )。
- Enter formulaの 下に、新しいフィールドを得るために使用する計算式を定義することができます。
全圧の場合、以下の式が使用されます:
$$P_0 = P + 0.5 \rho V^2 \tag{1}$$
ここで、\(P_0\) は全圧、\(P\) は静圧、\(\rho\) は流体の密度、\(V\) は局所速度の大きさです。
式に項(スカラー、ベクトル、または演算子)を追加するには、 Enter formulaフィールドで入力を開始します。ドロップダウンウィンドウが表示され、オプションが選択できます。
- 全圧式の最初の項の静圧を設定します。したがって、Enter formulaフィールドに Pressure と入力できます。
- オプションのメニューが表示されます。メニューから Pressure を選び、数式に追加します。同じプロセスを繰り返して、他の項を追加できます。
数式の設定が完了すると、下の画像のようになります:
計算式が完成したら、 Compute Formula をクリックして次に進みます。新しいフィールドが作成され、ポストプロセッサーで可視化できるようになります。
Custom Camera Position
プロジェクトをシミュレーションし、報告書などを作成する場合、すべての結果について同一のアングルの画像を要求される場合があります。アニメーションや画像にこの一貫性を持たせるには、Custom Camera Positionを使用します。この機能は、オリエンテーションキューブの左上(カメラマークのアイコン)にあります。
この便利な機能の詳細については、ナレッジベースの記事 を参照してください。
Compare
Compareツールを使用すると、2つの異なるシミュレーション実行の結果フィールドを、同期したビューアとフィルタで並べて表示することができます。並べて表示するには
- フィルタバーから Compare コマンドを選択します。
- ドロップダウンリストから比較するシミュレーションを選択します。
この操作では、両方の結果に同じフィルタが適用され、デフォルトでカメラビューが同期されます。一方のビューを回転、ズーム、またはパンすると、もう一方のビューもそれに応じて更新されます。図 30 にCompareビューの例を示します:
以下のオプションもあります:
- 両方の結果フィールドに同時に適用されたフィルターを調整する。
- Sync views ボタンでカメラの同期をオン/オフできます。
- リストから比較するシミュレーションを変更します。
| 注 |
| 表示される両方のビューは、シミュレーションの最新のタイムステップに対応し、これを調整することはできません。また、2つ目のビュー(右側)に属する面/パーツを選択して非表示にすることはできません。ビューの同期は常に左側で調整され、右側がそれに追随します。 |
Import view
比較機能と同様に、 Import viewは複数のシミュレーションを持つプロジェクトでのみ使用できます。Import viewでは、別のシミュレーションのポスト処理状態を現在のポストプロセッサインスタンスにコピーすることができます:
以下の設定がコピーされます:
- フィルタ (該当する場合)
- フィールド (存在する場合)
- ビュー(カメラ)設定
- グローバルカラー
- 部品の表示/非表示 状態
トラブルシューティング
ポストプロセッサで問題が発生した場合は、デフォルト設定にリセットしてください。これには2つの方法があります。
- シミュレーションツリーで、 Solution fieldsに 移動し、下図でハイライトされているアイコンをクリックして、Reset to defaultを選択します:
- あるいは、オンラインポストプロセッサウィンドウで、Reset ボタンをクリックします:
適用例
これらのポスト処理フィルタやツールをさまざまなプロジェクトで使用したい場合は、チュートリアルを確認してください。各チュートリアルには、フィルタの適用例や組み合わせを紹介するポスト処理セクションが含まれています。
さらに、 Public Projects で、他のユーザーの何千ものプロジェクトをポスト処理することも可能です。