流体解析において、シミュレーションの結果は繰り返しの計算で得られた結果です。そのため、得られた結果が妥当な結果なのか判断するうえで、計算が収束しているかの確認が重要です。
1. Convergence plots を確認する
シミュレーションツリーのRunでは、デフォルトの設定で Convergence plot (収束プロット)と呼ばれる計算の収束の確認に役立つグラフを確認できます。
図: シミュレーションツリーで Convergence plots を確認する
1.1. Residual をチェックする
Residual (残差) は繰り返し計算における解の不釣り合い度合を表します。残差が小さいほど、数値計算上の精度が高いと言えます。グラフでは、各値に関して、繰り返し計算(イタレーションとも呼びます)が進むにつれて残差の値がどう変化しているか確認できます。多くの場合、 Residual が1e-3以下になっていればまずはOKと言えます。
図: Residual plot
また、 Residual plot から計算および解の安定性も判断できます。例えば、急なピークが生じている場合は何か問題が生じていると言えます。そういった場合に得られたシミュレーションの結果は信頼性が低いです。
図: 悪い場合 (Not good) と良い場合 (Looks better) の Residual plot
1.2. 境界条件の Convergence plot を確認する
Convergence plot 内では、次の境界条件に関する収束プロットも確認できます。
- Domain (解析領域全体)
- Wall (壁)
- Inlet (流入口)
- Outlet (流出口)
それぞれの値は、各繰り返しステップにおける値の平均値であり、0から1で正規化されています。 Residual を確認して、何が問題なのか分からない場合、これらを見ると改善のヒントが得られる場合があります。以下に例を示します。
左上の Domain のグラフを見ると、Ux (x方向の速度) が少し上下に変動しています。 T (温度) は急な変化はないですが、減少傾向です。他の値は安定しています。これからは、温度がまだ収束しておらず、もっと繰り返し計算が必要と判断できます。
右上の Wall を見ると、値は概ね良好に見えます。また、左下の Inlets も値の多少の変化は見られますが無視できる程度で、問題ないと判断できます。
最後に、 Outlets を見ると何か正常ではなさそうということが一目瞭然です。p (圧力) と U (速度) について大きく上下に値が変動していることが分かります。これは、メッシュあるいは境界条件の設定により流出口において数値的に不安定さが生じていると想像できます。
図: 境界条件の Convergence plot
それでは、 Outlet の収束プロットが問題なく収束している例を示します。繰り返し回数が800を過ぎた辺りからは、値がほぼ一定になっています。
図: 問題ない場合の収束プロット
2. Result control で値を設定してチェックする
繰り返し計算では、圧力や流速などについて何かしら最初に予測した値(初期条件)から計算をスタートします。各繰り返し計算において、それぞれの値が更新されていきます。収束した定常解析の結果においては、これ以上計算を続けても変化しないだろう、という値となることが望ましいです。
SimScaleでは、結果出力の設定で着目している箇所の値を確認し、収束しているかの判断に役立てることができます。(流体解析の結果出力の設定, Result Control について詳細はこちら)
以下のは、圧力損失を確認したいシミュレーションでの例です。このシミュレーションでは、圧力の値に着目しています。まず最初にイタレーション数を300回として解析を実行しました。流入口と流出口の面における圧力の平均値を出力しました。
片側の面 (流出口) では圧力は0 Paに落ち着き、もう一方の面 (流入口) では値がまだ現象傾向にあります。したがって、まだ収束した結果は得られていなさそうです。
図: イタレーション数300回までの圧力のプロット
もっと繰り返し数を増やして計算してみました。シミュレーションツリーで Run を選択すると、 Post-process results の左に Continue the run ボタンが表示されているのでクリックします。この例では、 End time を 1000 まで増やし、イタレーション数1000まで続きの計算を行います。 Maximum runtime (実時間における最大計算時間) も増やしておきます。
図: シミュレーションを継続する手順
1000ステップの計算で得られた流入口・流出口の圧力のグラフを示します。500を過ぎた辺りから、黒で示す流入口の圧力の値についても収束していることが分かります。これによって、計算結果としては妥当な結果が得られていると判断できました。