概要
この記事では、NS_タグと呼ばれるCADデータのジオメトリに固定の名前を付ける機能を紹介します。この機能を用いると、CAD内で予め「NS_」で始まる名前とした部品や面を認識し、シミュレーションツリーでジオメトリを変更した際にも解析条件の割り当てを引き継ぐことができます。
これにより、1つのシミュレーション内で、できるだけ多くの設定割り当てを維持しながらジオメトリを変更した検証を行いやすいシミュレーションのテンプレートを作成することもできます。
| CADの関連付けとNS_タグの違いは何ですか? |
| SimScaleでは、CAD Associativity (CAD関連付け)と呼ばれる、解析条件が割り当てられた面や部品が存在する限り、ジオメトリを元のCADファイルで寸法などを修正したものに変更したときに解析条件を自動的に割り当てます。一方、NS_タグでは、ユーザー定義のNS_タグが同一であれば、どのようなCADファイルであっても条件の割り当てを引き継げます。 SimScaleでは、 OnShape またはSOLIDWORKSのワークフローを使用して、CADの関連付けを行うことができます。 |
NS_タグ
CADソフトウェアにおいてCADモデルのサーフェス名やパーツ名を 「NS_」から始まるものにすると、SimScaleはアップロード時にCADファイルをチェックし、タグ付けされたサーフェスやパーツに従って Saved Selection (サーフェスなどをグループ化したセット) を作成します。こうして作成された Saved Selection を以下の条件設定で割り当てることができます:
- Contacts
- Materials
- Boundary conditions
- Mesh Refinement (Local element refinement)
- Advanced concepts
- Result Control Items
プロジェクトのCADファイルを交換する際、SimScaleは Saved Selections の割り当てを維持します。この機能により、ユーザーはシミュレーション設定を維持したままCADファイルを素早く変更することができ、同じシミュレーションテンプレートを使用して異なる設計を素早くシミュレーションすることができます。
| ネーミングの一貫性 |
| 保存された選択範囲の自動割り当てを正しく行うには、タグが 「NS_」で始まり、厳密に同一の名前が設定されている必要があります。 |
シミュレーションテンプレートの例
この例では、NS_タグを使用してIGBTクーラーのテンプレートを作成します。このテンプレートを使用して、IGBTクーラーの異なるバリエーションをシミュレーションします。最終プロジェクトはこちらからご覧いただけます:
NS_ CADタグ付け
最初のステップとして、シミュレーションの境界条件と材料を定義し、対応する部品と面にタグを付けます。さらに、異なる設計を比較するために、温度を評価する測定面も定義します。下図にシミュレーションテンプレートのセットアップを示します:
部品
- 流体領域: 水
- 固体材料: 銅
表面
- 流入口: 体積流量流入
- 流出口: 圧力流出
- IGBT表面: 一定温度の熱壁
- 測定面
この例では、OnShapeを使用して部品と面の名前を変更しています。ただし、名前の変更にはどのCADソフトウェアも使用できます。下図は、OnShapeでタグ付けされた面と部品を示しています。
SimScaleプラットフォームへのCADインポート後、SimScaleはCADファイルをチェックし、タグ付けされた部品と面の保存済み選択範囲を作成します。作成された保存済み選択範囲を以下に示します。
シミュレーションテンプレートの設定
IGBTクーラーでは、固体材料から流体への熱伝達をシミュレーションするために共役伝熱解析が必要です。この例では、NS_タグ特有の設定に焦点を当てます。共役熱伝達解析のセットアップ方法に関するより詳細なチュートリアルは、こちらをご覧ください:
材料の割り当て
まず、固体と流体領域の材料をタグに基づいて設定します。そのため、体積を材料に割り当てる際に、保存された選択項目が選択されます。
境界条件
ここでは、流入口、流出口、熱壁境界が保存された選択項目に割り当てられます。
Result control
最後に、圧力損失と出口温度を得るための出口と、IGBT上面の温度を得るための測定面に、Area average (面積平均)のResult controlを割り当てます。ここでは、保存された選択項目も割り当てられます。
テンプレートの使用と割り当ての維持
テンプレートが設定されたので、IGBT クーラーの新しい設計をアップロードします。新しい設計では、同じタグが設定されています。下図は、保存された選択が作成された新しい設計を示しています。
この例では、同じプロジェクト内でテンプレート・シミュレーションを複製します。プロジェクト全体をコピーすることもできます。こうすることで、シミュレーションテンプレートのバックアップをきれいに保つことができます。
シミュレーションテンプレートの複製後、ジオメトリを置き換えることができます。SimScaleは Saved selection を検出し、それに応じて置き換えます。シミュレーション設定を変更することなく、新しい形状をシミュレーションできます。
正常に実行された後、SimScaleのCompareモードで新しい設計を比較できます。新しいモデルの速度分布は、テンプレートと比較してより均一であることがわかります。
| シミュレーションの比較 |
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SimScaleのCompare機能の詳細については、こちらをご覧ください。 |
| ご存知でしたか? |
| この記事の例ではCFDシミュレーションを使用していますが、シミュレーションテンプレートは構造解析にも使用できます。 |