メッシュとは
シミュレーション計算を行うためには、領域を数値計算で扱うために離散化する必要があります。これは、全体の大きな問題を小さな領域ごとの問題に分割することを数学的に意味します。連続体領域の全体を一度に一気に解くことは不可能なため、複数の部分部分の問題に置き換えるのです。
この離散化プロセスは、有限差分法(FDM)、有限体積法(FVM)、有限要素法(FEM)などの手法の基礎となるもので、その目的は、連続形式の方程式を差分計算に置き換えることにあります。このプロセスにより、シミュレーション領域全体をカバーする離散的な点とセルの集合(メッシュ)を作成します。
本ページでは、SimScaleにおけるメッシュ作成の概要を説明します。個別のメッシャー (algorithm) や 細分化 (Refinement) については、それぞれのページをご覧ください。
Mesh (メッシュ生成)
メッシュの設定は、シミュレーションツリーの Mesh から行います。多くのCAEソフトウェアでは、ジオメトリデータを読み込んだ後まずメッシュ生成を行いますが、SimScaleでは他のすべての設定が完了した後にメッシュ生成を行います。これにより、メッシュ生成の処理が終わるまで待ったりなやんだりせず、パラメータや境界条件の割り当てはアップロードしたCADモデルを用いて行えます。さらにSimScaleでは、設定した境界条件などの設定を自動的に反映した形で、メッシュを適切に生成する機能があります。
図1: シミュレーションツリーの Mesh
メッシュの設定は、 Mesh をクリックして表示される設定パネルで行う全体設定のほかに、 Refinement から特定の場所のメッシュを細かくする細分化設定も可能です。
※ Incompressible (LBM), Pedestrian Wind Confort, Multi-purpose に関してはメッシュの設定やアルゴリズムが異なりますので、個別のページをご覧ください。
設定項目
SimScaleは、メッシュ生成プロセスを可能な限りシンプルでユーザーフレンドリーにするよう努めています。基本的にはユーザーが設定しなければいけない事がらは、メッシュの細かさ(≒結果の精度)と必要な計算時間のトレードオフのみです。
プラットフォーム内で3次元の4面体および6面体メッシュを作成するために、いくつかのアルゴリズムが利用可能です。メッシュ作成アルゴリズムのロバスト性と汎用性を高めるために、ほぼ自動設定 (Automatic) のほかに手動で設定を行える手動設定 (Manual) の両方が提供されています。
設定パネルを下図に示します。なお、解析タイプにより、デフォルトのメッシュ設定と表示項目は若干異なります。
図2: Mesh の設定パネル
以下に、共通する項目や考え方について説明します。
Algorithm (メッシュアルゴリズム)
以下のアルゴリズムから選択して利用できます。(構造解析は Standard のみ選択可能)
-
Standard
- SimScaleの標準メッシャーであり、基本的にはこちらの利用を推奨します。
- Simmetrix の自動メッシャーを組み込んでいます。(2023年8月現在)
-
Hex-dominant
- 6面体メッシュ(ヘキサメッシュ)です。
- snappyHexMesh を利用しています。
-
Hex-dominant parametric
- Hex-dominant 同様の6面体メッシュ(ヘキサメッシュ)であり、より詳細な設定が可能です。
Number of processors (使用するプロセッサの数)
メッシュ生成の処理に使用するプロセッサの数を選択し、利用するクラウドサーバーの計算インスタンスの大きさが変更できます。これにより、CPUの数が増え、それに伴いより多くのメモリを利用できるようになります。
推奨設定は Automatic (自動選択) です。
※Number of processors を大きくしても必ずしもメッシュ生成に要する時間が短縮される訳ではありません。
Mesh selection (メッシュ選択)
ひとつのシミュレーション設定の中で複数通りのメッシュを作成してメッシュデータを保存できます。このメッシュデータは、シミュレーションの Run ごとに変更して利用するほか、同じプロジェクト内の別のシミュレーションで利用することもできます。
Mesh selection のリストでは、設定・生成したメッシュのリストからシミュレーションで使用するメッシュを選択できます。作成済みのメッシュを選択したまま設定を変更し、 Generate でメッシュ生成を行ってしまうと、既存のメッシュデータは上書きされます。
- Create new mesh: 新たなメッシュを作成します。既存のメッシュ設定やメッシュデータを残して新たにメッシュを作成したい場合はここから新たなメッシュを作成してください。
- Copy mesh from: シミュレーションツリーの別のシミュレーションで作成したメッシュをコピーして利用できます。
図3: Mesh selection での操作
メッシュ作成前に確認できる推定情報
Mesh selection のリストに表示された Estimate とパネル下部に表示された Estimation では作成されるメッシュのセル数 (cells) 、 節点数 (nodes) や処理に要する時間とCPUh (core hours) を確認できます。実際にメッシュ作成を行う前の目安としてご活用ください。
図4: 作成されるメッシュに関する予想情報
Generate (メッシュ生成の開始)
パネル下部に表示されている Generate ボタンより、メッシュ生成を開始できます。なおメッシュが作成されていない場合は、 Simulation run を開始する際に自動的にメッシュ作成処理も行われますので、必ずしもメッシュ設定からメッシュ作成を開始しなくても構いません。ただし、形状が複雑であったり、難しそうな計算条件の場合はここでメッシュを作成し、作成されたメッシュを確認してからシミュレーション計算を開始することを推奨します。
利用ヒント:メッシュ作成処理中も計算条件の設定や既に計算実施済みのシミュレーションの結果確認といったあらゆる作業を行えます。
Refinement (メッシュリファインメント)
全体のメッシュ設定の他に、特定の位置や部位についてメッシュを細かくしたり、メッシュの種類を変更することができます。
設定できるリファインメントの方法は解析タイプとメッシュアルゴリズムによって異なります。詳細はメッシュアルゴリズムのページをご確認ください。
以下に、リファインメントの方法の例を示します。
-
Region refinement
- 指定した領域についてメッシュサイズの設定を行います。
-
Inflate boundary layer
- 指定した面について境界層メッシュを作成します。なお、 Standard メッシャーでは境界条件の設定から自動で境界層メッシュを作成できます。
-
Sweep mesh refinement
- 構造解析において、断面形状が連続する部分でスイープメッシュを作成できます。標準では4面体メッシュ (テトラメッシュ) のみですが、スイープメッシュではヘキサメッシュも利用できます。
Mesh quality (メッシュ品質の確認)
SimScaleでは、作成されたメッシュの品質を確認する機能もあります。メッシュ作成が完了すると、シミュレーションツリーの Mesh に✅が表示され、ツリーを展開すると Mesh log と Mesh quality が新たに表示されます。ここでは、メッシャーのログや、ビューワ上でアスペクト比といったメッシュ品質の確認を行えます。
図5: Mesh log と Mesh quality
また、メッシュのパネルの Event log を展開すると作成されたメッシュに関する情報を確認できます。
図6: メッシュの情報
Mesh quality の詳細はこちらのページをご覧ください。
メッシュのアップロード
他のメッシャーソフトウェアで作成したメッシュをアップロードして利用することもできます。
対応する解析タイプ
アップロードしたメッシュを利用できる解析タイプは以下の通りです。
- Incompressible
- Compressible
- Convective Heat Transfer
- Multiphase
- 構造解析の全解析タイプ
フォーマット
対応しているフォーマットは以下の通りです。
- MED (.med) (version 3.0, 3.1, 3.2, 3.3)
- *.med ファイルをアップロードできます。*.tar.gz あるいは *.zip で圧縮したファイルもご利用いただけます。
- 境界条件を設定するには、節点・エッジ・面・ボディをグループ化しておく必要があります。流体解析の場合は、面のグループ (OpenFOAMでは patch と呼ばれる) のみで構いません。
- OpenFOAM (.foam) native mesh format (ASCII only)
- OpenFOAM形式のメッシュをアップロードする場合、OpenFOAMの解析プロジェクトフォルダ内の constant フォルダを*.tar.gz あるいは *.zip で圧縮したファイルを利用します。
- constant フォルダ内には、 polyMesh フォルダがあることを確認してください。
- すべてのパッチを境界条件設定にご利用いただけます。
アップロードの方法
CADデータをアップロードする際と同様に、ワークベンチ左上の GEOMETRIES からアップロードします。アップロードされたメッシュは Uploaded Meshes に表示されます。
図7: アップロードされたメッシュ