このチュートリアルでは、走行中の車両周りの非圧縮性乱流気流のシミュレーションを行う方法を紹介します。図1は、結果として得られる流れの挙動の一例です。
図 1: 流線による CFD シミュレーション結果のポスト処理
このチュートリアルでは、次のことを学びます。
- 非圧縮性シミュレーションのセットアップと実行
- Saved selectionsの割り当て
- 境界条件、材料、その他のプロパティの割り当て
- Standardアルゴリズムによるメッシュの作成
以下のワークフローでチュートリアルを進めます。
- シミュレーションのためのCADモデルを準備します。
- シミュレーションの条件を設定します。
- メッシュを作成します。
- シミュレーションを実行し、結果を評価します。
1. CADモデルの準備と解析種類の選択
1.1. CADデータをワークベンチにインポートする
最初のステップは、下のリンクをクリックすることです。ジオメトリを含むチュートリアルプロジェクトがWorkbenchにコピーされます。

図2:インポートされた車両のCADモデル。
車のジオメトリはあまり厳密でないことに注意してください。ボルトやワイパーなど、空力に大きな影響を与えない細かな形状は、通常、削除するか簡略化します。
このようなアプローチにより、シミュレーションの全工程を通じて必要な計算量を削減しつつ、有意義な結果を得ることができます。CADの準備に関する詳しい情報は、こちらのページをご覧ください。
| Tips |
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車の対称的な形状を利用できます。流れ場は車の対称面に沿って鏡面化されるため、ジオメトリの半分だけを使用すれば構いません。 図3:車のジオメトリの半分、XZ対称面は赤でハイライトされている 対称性を利用することで、シミュレーションをより高速に実行することが可能になります。 |
1.2. CAD Mode
最初に、車体モデルを取り囲んだ流体領域を作成します。これは、解析の中で実際に流れ場を解く領域となります。Incompressible(非圧縮性)解析タイプでは、流体領域を表すひとつのジオメトリを解析に使用します。そのためまず、SimScaleの機能を使用して、インポートされた車体のジオメトリの周りに流体領域ジオメトリを作成していきます。
CADモードに入るには、次のアイコンをクリックします。

図4:このアイコンをクリックすると、CAD編集を行うことができます。
ツールバーの左側にあるFlow volumeを選択します。
図5:CADモードで利用可能な機能はすべてインターフェースの上部に配置されています。
ドロップダウンメニューに表示されるExternalをクリックします。
図6:外部空力の計算では、通常、流体領域の作成にExternalを使用します。
計算領域の寸法は、車両の長さ(L)に応じて決定することが多いです。このチュートリアルでは、経験則から以下の値を使用します。
- 下流側:車両の長さの8〜10倍。
- 上流側:車両の長さの3〜5倍。
- 最小のz方向は地面と車輪が接するまで。
- その他の方向は車両の長さの3倍。
図 7:自動車の空力解析で推奨される計算領域のサイズ
このシミュレーションプロジェクトでは、モデルの対称性を利用して、車体の左半分のみを使用します。以下に示すように、計算領域の寸法をメートル単位で設定します。
- Minimum X: -17.5 m
- Minimum Y: -15 m
- Minimum Z: -0.005 m
- Maximum X: 37.5 m
- Maximum Y: 0 m
- Maximum Z: 15.005 m

図8:CADモードで計算領域を可視化しながらその寸法を決定します
完了後、Applyをクリックします。次に、BODYセクションにあるDelete機能を選択し、車体ジオメトリを削除します。
図9: 車もモデルから削除して、流体領域だけを残す必要があります。
右上のシーンツリーからCarを選択し、Applyをクリックします。

図10:CADモードのジオメトリツリーを使用したソリッドボディの削除作業
操作が終了し、車両のボディが正常に削除されたら、インターフェースの右上にあるSaveをクリックすると、編集内容が保存されます。

図 11: 流体領域のみが存在し、車両があったスペースが空洞になった状態でワークベンチに戻る。

図12:新しいバージョンの名前を変更するには、チェックマークの横にカーソルを置き、編集アイコンが表示されるまで待ちます。その後、アイコンをクリックして新しい名前を入力します。
1.3. シミュレーションの作成
図14は、作成された計算領域を示しています。Create Simulationボタンをクリックしてください。
図 13: シミュレーションの条件設定に使用する CAD モデルの準備ができました。
これを実行すると、解析タイプを選択する画面が表示されます。
図 14: 解析タイプ選択の選択画面
解析タイプとしてIncompressibleを選択します。Incompressibleは、領域全体でマッハ数が0.3以下である場合に使用します。Create Simulationボタンをクリックします。
画面左側にシミュレーションツリーが表示されます。シミュレーションを実行するために、シミュレーションツリーのすべての項目を設定していきます。
Incompressibleをクリックして表示されるシミュレーションのグローバル設定は、デフォルトのままとします。
図 15: 非圧縮性解析のプロパティ
このチュートリアルでは、時間に依存しない定常解 (Steady state) を計算することを目的とします。SimScaleは非定常解析(Transient)もサポートしており、時間に依存した結果を計算することができます。
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k-omega SST乱流モデルは、外部空力の計算で推奨されています。このモデルは、k-omegaモデルとk-epsilonモデルをミックスした形で機能します。k-omegaモデルは壁際で優位に働き、自由流ではk-epsilonモデルに切り替わります。 k-omega SSTモデルの詳細については、こちらのドキュメントをご覧ください。 |
1.4. Saved selectionsの作成
Saved selectionsは、ジオメトリの面をグループ化できる機能です。シミュレーションのセットアップ中に、同じ面のグループを何度も使用する場合に、作成したトポロジカルエンティティセットを選択すれば済むので便利になります。
このチュートリアルでは、前輪・後輪・車体の3つのSaved selectionsを作成します。
まず始めに、計算領域の壁面を隠します。これを行うには、モデルを回転させながら、領域の6つの面をすべて選択します。選択されると、表示が赤に変わります。ビューアで右クリックし、Hide selectionオプションを選択すると、選択した面が見えなくなります。
図16:ホイールの面を手動で選択するために、計算領域の壁面を隠します。
領域の壁面を非表示にした後、以下の手順を実行します。
- 前輪の5つの面を選択します。
- Saved selectionsの隣にある+ボタンをクリックして、新しいセットを作成します。
- セットに適切な名前(例:Front Wheel)を付け、完了後にCreate New Setをクリックします。
- Rear wheelの5つの面について、同じ手順を繰り返します。
図 17: 前輪の面に対するSaved selectionsの追加
次に、車両の残りの面に対して 1 つのSaved selectionsを作成しましょう。以下のステップに従ってください。
- 前輪と後輪のSaved selectionsの横にある目のアイコンをクリックして、非表示にします。
- ビューアで右クリックし、Select allをクリックします。
- Saved selectionsの隣にある+ボタンをクリックします。
- 新しく作成されたセットに適切な名前を付けます。(例:Body)
図18:車両のボディのSaved selectionsを作成する
ボディのSaved selectionsを作成した後、ビューアで右クリックしてShow allを選択すると、非表示にした面を再表示することができます。計算領域の壁面は、このチュートリアルの後半で境界条件を割り当てるために必要になります。
2. 材料と境界条件の設定
2.1. 材料の設定
シミュレーションツリーで、Materialsの隣にある+ボタンをクリックします。ポップアップ表示される材料ライブラリからAirを選択します。
図19:SimScaleで利用できる予め用意された流体材料のリスト
最初に作成された流体領域には、自動的に材料が割り当てられます。
図20:空気の物性値
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| このチュートリアルでは、空気の物性値にはデフォルト値を使用します。しかし、図 21 の各値をクリックして編集することが可能です。 |
2.2. 境界条件の設定
この解析で扱うのは風のない環境を20 m/sで移動する車です。一般的にCFD シミュレーショ ンにおいて、車の移動を直接モデル化することは困難ですので、車を動かす代わりに、車を静止させ、車と道路の周りの空気に想定する速度の流速(今回は20 m/s) を設定する方法がよく用いられます。
この領域の境界条件の概要は以下の通りです。車体前方を流入境界、車体後方を流出境界、上面と側面をスリップ境界、地面を移動壁境界、車体中央の分割面を対象境界とします。
図 21: 周囲の壁面に適用された境界条件の概要
車体表面についても、以下の境界条件を適用します。車輪は回転壁、車体はノンスリップ境界とします。
図22: 車のSaved selectionsに適用する境界条件
上記の様々な境界条件を設定していきますが、境界条件を作成するにはBoundary conditionsの隣にある+ボタンをクリックし、ドロップダウンメニューから利用する種類を選択します。
図 23:新しい境界条件を追加する
2.2.1. Velocity Inlet
流入面での風速を定義しましょう。図24に示すように、新しい境界条件を作成し、ドロップダウンメニューからVelocity Inletを選択します。
Velocity inlet境界条件では、定義する速度はベクトル値です。方向にはビューアの右下隅にある座標軸を参考にするとよいでしょう。このチュートリアルでは、x方向の速度を20 m/sに設定します。
図24: 気流の流入条件
2.2.2. Pressure Outlet
2つ目の境界条件として、Pressure Outletを作成します。非圧縮性解析では、ユーザーはゲージ圧を指定します。ゲージ圧は、基準値(例えば周囲圧力)に対する相対値です。したがって、車体後方にある流体領域の出口面には、ゲージ圧0 PaのPressure outlet条件が適用されます。
図25: ドメイン上のPressure outlet
2.2.3. Walls: Slip Condition
3つ目の境界条件として、ドロップダウンメニューからWallを選択します。(U) VelocityをSlipに設定します。
スリップ条件は、面の接線方向の流れは許容しますが、法線方向の流れは許容しません。これは、車から遠い計算領域の上面と側面の近似値に使用します。
そこで、下図のように、領域の上面(xy平面)と右側面(xz平面)にSlip条件を設定します。
図26: スリップウォール境界条件の割り当て。
2.2.4. Symmetry
前述したように、対称面については鏡面的な空力パターンが予想されるため、Symmetry境界条件を適用する。
図27: 対称面の割り当て
2.2.5. Wall: Moving Wall
次に道路に境界条件を割り当てます。さらに別のWall境界条件を作成します。今回は、(U) VelocityをMoving wallに設定します。この設定では、割り当てられた面における流体速度の接線方向成分を指定します。
Velocity inlet境界条件で定義したのと同様に、x方向の速度として20 m/sを定義します。
図 28: 底面の移動速度の割り当て
2.2.6. Wall: No-Slip
次にWallの境界条件として、(U) VelocityにNo-Slipの条件を設定します。これは、割り当てられたエンティティ上で速度がゼロに等しいという条件です。
さらに、壁際の速度プロファイルをモデル化するために、Wall functionsを使用します。この境界条件を、先に作成したBodyのSaved selectionsに割り当てます。
図29: 車両のボディ面に対するNo-Slipの境界条件
壁関数や他の壁の処理に関する情報は、この記事をご覧ください。
2.2.7. Wall: Rotating Wall – Front Wheel
回転する車輪もWallの境界条件でモデル化できます。今回は、(U) VelocityでRotating wallを選択します。回転壁の条件を設定するには、以下の情報が必要です。
- Point on axis (回転軸上の点): ユーザーは回転軸の位置を定義するために、回転軸上一点の座標を定義する必要があります。この例では、ホイールの中心を基準とします。多くの3DCADソフトでは円筒ジオメトリの中心座標を調べられます。例えば図30では、3DCAD (Onshape) 内で前輪の回転軸上の点の座標を求めています。
図 30: 前輪の回転軸上の点の座標を取得する
- Rotation axis (回転軸):これは、面が回転する際の中心軸です。回転の方向は、右手の法則で与えられます。右手の法則では、親指が回転軸を表し、他の指の動きで回転方向を表します。図31を参照してください。
図31: 負のy方向の回転軸(赤)と、回転方向(青)を示している
- (ω) Rotational velocity (回転速度):定義する最後のパラメータは、車輪の回転速度ω (rad/s)です。これは以下の式(1)で計算できます。
ω = U / r ・・・ (1)
ここで、𝑈 (m/s) は車の速度、r (m) は車輪の半径です。
今回のケースでは、車の速度は20 m/sで、車輪の半径は0.3495 m(図30を参照)です。したがって、回転速度 ω は 57.22 rad/s となります。これらの情報をもとに、設定パネルで設定を行っていきます。
- (U) VelocityをRotating wallと定義します。
- Point on axisの座標に(0.916, -0.97, 0.349)を入力します。
- Rotation axisはY方向に-1を入力します。Rotational velocityは57.22 rad/sとします。
- 最後に、この境界条件をFront WheelのSaved selectionsに割り当てます。
図32: 前輪の回転壁の条件を設定する
2.2.8. Wall: Rotating Wall – Rear Wheel
最後に、後輪も同じ手順で行います。Front WheelとRear Wheelの境界条件では、Point on axisの座標がと異なるので注意してください。
最後のWallの境界条件は、以下のように設定してください。
- (U) VelocityをRotating wallとします。
- Point on axisの座標に(3.584, -1, 0.349)と入力します。
- Rotation axisはY方向に-1を指定します。Rotational velocityは57.22 rad/sとします。
- 最後に、Rear WheelのSaved selectionsに割り当てます。
図 33: 後輪の回転壁の条件設定
2.3. Numerics と Simulation Control
Numericsの設定はデフォルトのままで構いません。シミュレーションツリーでSimulation controlタブをクリックし、図のように設定します。
- Maximum runtimeを30000秒に変更します。
- Potential flow initializationを有効にします。この設定により、速度場が初期化され、反復計算の安定性が向上します。
図 34: Simulation controlのプロパティ
| Tips |
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定常状態でのシミュレーションでは、End timeとDelta tパラメータで、実行する反復回数を制御します。デフォルトの設定では、シミュレーションは合計1000回の反復で構成され、これはほとんどのシミュレーションが収束するのに十分な回数です。 Simulation controlの設定に関しては、こちらをご覧ください。 |
2.4. Results Controlについて
自動車の流体空力性能を評価する場合、揚力係数と抗力係数は最も重要なパラメータの一つです。そこで、以下のようにForce and moment coefficientsのResults controlを作成しましょう。
図 35: 係数の計算セットの追加
設定パネルでは以下のように設定してください。
図 36: Force and moment coefficientのResult controlの設定
-
Center of rotationの座標は以下のように設定します。
- x座標:前輪と後輪の中心座標の中間。
- y座標:対称面上。
- z座標:地表面上。
- Onshapeを使用して正確な座標を決定すると、Center of rotaionの座標は(2.246, 0, 0)となります。
- Lift directionにはz軸に1を入力し、そのほかの軸は0とします。
- Drag directionにはx軸に1を入力し、そのほかの軸は0とします。
- Pitch axisにはy軸に1を入力し、そのほかの軸は0とします。
- ([U<∞>]) Freestream velocityには流入境界条件と同じ20 m/sを設定します。
- Reference lengthは、x軸に沿った車両の長さを入力します。今回の車の長さは4.65 mです。
- Reference area valueは、車の正面面積を平面に投影した値です。重要なのは、車のジオメトリの半分を使用しているので、面積の投影はモデルの半分だけを考慮する必要があるということです。ここでは1.103 m2とします。
図37: 3DCAD (Onshape) を使用して、車の半分の正面投影面積を求めましました。
- Result controlをすべての車の面に割り当てます。最も簡単な方法は、冒頭で作成した 3 つのSaved selectionsを選択すると、車両全体を設定できます。
| 重要 |
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Result controlのパラメータは、ドラッグとリフト係数を計算するアルゴリズムで使用されるため、設定する際には注意が必要です。 抗力・揚力の計算式や、力・モーメント係数のResult controlの設定方法については、以下の記事を参照してください。 |
3. Mesh
メッシュ作成は、Standardアルゴリズムを使用することをお勧めします。Standardアルゴリズムは自動化されており、ほとんどの形状で良好な結果が得られるため、一般的に良い選択です。ここではFinenessを6に、Advanced settingsのSmall feature suppressionを0.001 mにします。
図 38: 標準メッシャーの設定
| Tips |
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多くの場合、メッシュサイズの大きな変化は、わずかな領域でしか起こりません。グローバルメッシュのRefinementを上げると、セル数が劇的に増加します。 Standardアルゴリズムを使用する場合、SimScaleはPhysics-based messingオプションにより、流入面と流出面周辺の領域を自動的に精細化します。また、局所的な要素サイズと領域の詳細化などの詳細化オプションを使用して、手動で設定することもできます。 Standardアルゴリズムの詳細については、関連するドキュメントページを参照してください。 |
3.1. Refinementsについて
なぜRefinementsの設定が必要なのか
外部空力シミュレーションでは、空気が車体の周りを流れる際、車体に近い領域と、車体より下流で発達する領域の2つが重要な物理的影響を及ぼします。
図 39: 車体周りの速度プロファイル。車体近傍と下流域で急激に変化していることに注目。
これらの領域では速度や圧力の勾配が大きいため、正確に評価するためにはより細かいセルが必要となります。こうした場合に、Refinementsが有効です。
メッシュにRefinementsを追加するには、Refinementsの隣にある+ボタンをクリックします。
図40: 新しいメッシュのRefinementsを追加する
3.1.1. Region Refinements
車の下流にRegion Refinementsを作成しましょう。Region Refinementsは、Geometry primitivesのメッシュを改良するために使用されます。
まず、2つの新しい直交座標系における直方体を作成し、Region Refinementsの領域に割り当てます。右側のパネルのGeometry primitivesの横にある+ボタンをクリックします。
図41: 新しいGeometry primitiveの追加
次に、ドロップダウン・メニューからCartesian Boxを選択します。
図42: Cartesian boxのGeometry primitiveの作成
最初のボックスの名前をLarge Boxとします。MinimumとMaximumの2点の座標を設定して、ボックスを定義します。寸法は以下の通りです。
- Minimum (x): -5 m
- Minimum (y): -5 m
- Minimum (z): -0.2 m
- Maximum (x): 15 m
- Maximum (y): 1 m
- Maximum (z): 5 m
図43: 領域を絞り込むために作成された1つ目のCartesian box。
ボックスが車の後方(下流)に向かって広がっていることに注目してください。これは、図39に描かれているような、車体後方で生じる流速の勾配を捉えるためです。
2つ目のCartesian boxの名前をSmall Boxとします。下図の寸法で同じ手順を繰り返します。
- Minimum (x): -1 m
- Minimum (y): -2 m
- Minimum (z): -0.2 m
- Maximum (x): 7 m
- Maximum (y): 1 m
- Maximum (z): 2 m
図44: Region Refinements用に作成された小さなCartesian box。この小さな領域は、さらに下流に広がっています。
これで、Region refinements を作成する準備ができました。図45を参考に、Region refinementを作成します。Maximum edge lengthを 0.1 mに設定し、Large Boxのトグルをオンにします。
図45: Large Cartesian BoxのRegion refinementの設定
Small Boxについて、同じ手順を繰り返します。Small Boxはサーフェスに近いため、より細かく離散化されます。Maximum edge lengthを0.07 mに、Small Boxのトグルを有効にしてください。
図46: Small boxのRegion refinementを設定する。
3.1.2. Local Element Size
このReginementは面に適用され、入力に基づきセルエッジの長さを制限します。
Local element size refinementを作成し、Max edge lengthを0.005 mに設定します。回転壁の横の領域を正確に捉えるために、Front WheelとRear Wheelの両方のSaved selectionsに割り当てます。
図47: 車輪のLocal element sizeの設定
3.2. メッシュ結果
これで、Meshのメイン設定に戻り、Generateをクリックすることができます。これは必須のステップではありません。空力シミュレーションを開始するだけで、メッシュは自動的に作成されます。しかし、シミュレーションを開始する前に、このシミュレーションで完成したメッシュを見てみましょう。
メッシュ作成は数十分で終了し、下図のような結果が得られます。
図 48:メッシュの結果。それぞれのRefinementが何を行っているかを見てみましょう。
| 注意事項 |
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このチュートリアルでは、CFD を成功させるためにシミュレーションをどのようにセットアップするかを紹介します。このチュートリアルのセットアップは簡略化されています。結果の信頼性を確保するために、詳細な検討を行う必要があります。 これには、より細かいメッシュ、壁近傍のメッシュの改善、計算領域の変更など、追加の解析を実施する必要があります。当然、各シミュレーションの実行が収束していることを確認することも重要です。大きなメッシュの場合、より多くの反復回数を設定することが必要かもしれません。 CFD シミュレーションの収束を評価する方法については、こちらのドキュメントページを参照してください。 |
| 計算実施済みのプロジェクト |
| 解析条件の設定とシミュレーション計算がすでに実施済みのプロジェクトをこちらからご確認いただけます。 |
4. 解析の実行
これで、シミュレーションのセットアップが完了しました。新しいシミュレーションを開始することができます。そのためには、Simulation Runsの隣にある+ボタンをクリックします。
図49:新規シミュレーション実行
このようにすると、メッシュが生成され、その後、シミュレーションが自動的に開始されます。シミュレーションが計算されている間、ポストプロセッサーで中間結果を見ることができます。これらはリアルタイムで更新されています。
また、チュートリアルの最後に、完成したプロジェクトへのリンクがあります。
| 注意事項 |
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シミュレーションの時間がMaximum Run Timeを超えているという赤い警告メッセージが表示されることがあります。このシミュレーションでは、Maximum Run Timeの30000秒で十分ですので、Startをクリックして進んでください。 図50: Startをクリックして解析を開始してください。 |
このシミュレーションは、終了までに約2時間かかります。この時点で、Solution FieldsまたはPost-process resultsをクリックして、ポスト処理環境にアクセスすることができます。
図 51: 終了したシミュレーションのポスト処理環境へのアクセス
5. Post処理
5.1. Force and Moment Coefficientsについて
抗力と揚力の係数はForce and Moment coefficientsタブで確認できます。
図 52: 横軸が反復回数、縦軸が各係数の値を示している。
このプロットは、シミュレーションのプロセス全体を通して、反復に伴う係数の変化を示しています。収束したシミュレーションでは、係数はある値付近で安定します。
したがって、定常状態のシミュレーションでは、収束を評価するために、中間結果が重要になります。最終的に収束した値が、空力特性として求めたい解です。
5.2. 面の可視化について
Solution Fieldsをクリックしてポストプロセッサにアクセスした後、いくつかのポスト処理用のフィルタを使用して、結果をさらに分析することができます。圧力分布がまだ可視化されていない場合は、Parts colorからColoringをPressureに変更します。ページ下部の凡例には、領域内の最低値と最高値によって設定されたデフォルトの範囲が含まれています。上限と下限をクリックしてその値を編集することで、可視化の範囲をコントロールし、サーフェス上のカラーマップを変更できます。
図 53: 流体領域の圧力分布は、ポストプロセッサーに入ると自動的に表示されます。フィルターパネルでカラーリングを変更すると、可視化される範囲が変化します。
車の周りの空力的な流れをより見やすく可視化するために、計算領域のすべての壁面を選択してマウスを右クリックし、Hide selectionを選択することで、壁面を隠すことができます。
図 54: 車の圧力分布をよりよく可視化するために、計算領域の壁面を非表示にします。
図 55 では、車体上の圧力コンターが表示されています。前述したように、これらはゲージ圧です。空力的に流れが滞る部分(バンパー上など)では、圧力が大きな値を示しています。車体上の色の分布を滑らかにするために、下部の凡例を右クリックし、Use continuous scaleを選択してください。
図55: 段階的なスケールを使用した車両上の圧力分布。
カラーコンター表示がグラデーションになります。また、フィルタパネルでカラーリングを変更することにより、他の量も可視化できます。
図56: Continuous scaleでの表示
5.3. Cutting Planes
車の周りの空気力学的な流れの特性を観察したい場合、Cutting Plane (断面表示)も有効な手段です。以下のステップで切断面を設定します。
- Positionを(12.5, -0.5, 7.495)に変更します。
- OrientationがY軸であることを確認します。
- ColoringをTurbulent Kinetic Energyに変更します。
- 範囲の最大値を10 m2/s2に設定し、Use continuous scaleを使用します。
図 57: FilterからCutting planeを選択します。
上図から、自動車が空力的な流れに乱れを生じさせ、特に地面に近いトランクの後方で高い乱流運動エネルギーを生み出していることが分かります。
5.4. Streamlines と Animation
Streamlineは、流れの分離が発生する場所を視覚化するのに便利です。これを行うには、FilterパネルからParticle traceを選択すると、その設定が表示されます。
- ツールバーでParticle Traceをクリックします。
- Positionの横のボタンをクリックして、開始位置を選びます。
- これを計算領域の流入面に置くと、開始点からの流線が表示されます。
- 以下のように値を設定します
- # Seeds horizontallyと# Seeds verticallyで流線の本数を変更します。水平方向に20ポイント、垂直方向に30ポイントを使用します。
- Spacingを5e-2に、Sizeを1e-2に変更します。
- Trace both directionsオプションはここでは必要ないので、無効にしてください。
- Velocity magnitudeの表示範囲を0〜25 m/sに設定します。
図58: Particle traceの設定。開始位置を流入面とし、水平方向に20ポイント、垂直方向に30ポイントにする。
アニメーションは、FilterパネルからAnimationを選択することで開始することができます。アニメーションの種類をParticle Traceに変更した後、再生ボタンをクリックしてアニメーションを開始します。
図59:Particle traceのAnimationフィルタの作成
以下のアニメーション結果が得られます。
アニメーション1:車体後方の分離と車体上の圧力等高線を組み合わせた車体周りの速度流線。
車体表面の圧力分布と車体周りの速度流線を組み合わせると、速度が最も低くなる前方で高い圧力が発生していることがわかります。流れは、ルーフを越えてその先に行くにつれて加速しているように見えます。速度が非常に低い領域は、青い流線によって評価することができます。
SimScaleのポストプロセッサーを使用すると、空気力学的流れの結果をさらに詳しく解析することができます。ポストプロセッサーを使用する方法については、ポスト処理のガイドをご覧ください。
おめでとうございます。空気力学的流体挙動のチュートリアルはこれで終了です!