概要
CADモデルを準備し、読み込むことは、シミュレーションを設定する最初のステップです。場合によっては、シミュレーションのためにCADデータの調整が必要なこともあります。なお、SimScaleでCADモデルをゼロから作成することはできませんが、アップロードして、モデルの簡略化や簡単な調整することは可能です。CADの準備と適切なアップロードのヒントを以下に概説します。
CADのアップロード/インポート
CADファイルをSimScale Workbenchにアップロードします:
- 既存のプロジェクトを開くか、新規プロジェクトを作成します。
- アップロードダイアログを開くには、シミュレーション設定ツリーのジオメトリの隣にある 「+」 ボタンをクリックします。
- CADファイルをドラッグ&ドロップするか、 Import from Computer をクリックしてファイル選択ダイアログを開きます。
ローカルからアップロードする他にも、 From OnShape ボタンをクリックすることで、クラウド3D CADソフトウェアである Onshape のライブラリから直接モデルデータをインポートすることもできます。さらに、 from Sample Library を選択すると、SimScaleで予め用意したサンプルCADモデルを利用できます。
アセンブリをアップロードする場合は、後述のとおりアセンブリファイルとパーツファイルをzipにまとめてアップロードします。その場合、 ファイル形式を 選択する必要があります。例えば、SolidWorksの場合はドロップダウンメニューから SolidWorks (.sldprt / .sldasm) を選択します。
| ご存知でしたか? |
| SimScaleは、アップロードしたメッシュデータを利用したシミュレーションもサポートしています。メッシュ形状を既にお持ちで、シミュレーションのセットアップを開始したい場合は、このページをご参照ください。 |
対応するCADフォーマット
SimScaleは以下のCADフォーマットをサポートしています:
- CADネイティブフォーマット
- Parasolid(.x_t、.x_b)
- SOLIDWORKS (.sldprt, .sldasm)
- Autodesk Inventor (.iam, *.ipt)
- Rhino 4、5、6、および7 (.3dm)
- CATIA (.CATPart、.CATProduct)
- PTC Creo (.prt、.asm)
- Siemens NX(.prt)
- Solid Edge (.par、.asm、.psm)
- REVIT (.rvt)
- 中間フォーマット
- ACIS (.sat, .sab)
- STEP (.stp, .step)
- IGES (.igs、.iges)
- STL (.stl)
一般的に、モデルを作成したCADツールのネイティブフォーマットでアップロードすることをお勧めします(例: SolidWorksでモデリングした場合は.sldprt)。なお、SimScaleはParasolid CADカーネルをネイティブに使用します。SimScaleですべてのCAD操作機能を使用するには、CADモデルをParasolid形式に変換する必要があります。
CADアップロード時の最適化オプション
CADモデルをアップロードする際、シミュレーションに最適化する処理が自動的に実行されます。この処理については、以下で詳しく説明します。
必要であればユーザーは最適化機能を個別にをオフにすることができます。ジオメトリをインポートする際のダイアログで下図の青枠で示されているボタンをクリックすると、各最適化オプションが表示されますので、トグルの切り替えで有効・無効を切り替えることができます。
Facet-split on import (インポート時のファセット分割)
3Dモデルにおいて、パラメトリック関数ではなく、三角形で構成されるサーフェスメッシュで曲面を表現したものをファセットモデルと呼びます。多くの場合、ファセットで表現された面は、データとしては表面全体が1つの大きなサーフェスパーツとして認識するため、個別の面に境界条件などを定義することはできません。
Facet-split on import では、面と面の角度が一定値よりも大きい場合、それらの面はアルゴリズムによって分割され、個別に境界条件などを設定できるように認識されます。 .stlファイルなど、ファセットデータのみで3Dモデルを表現するフォーマットもあれば、Parasolid、Step、Rhinoなど、パラメトリックな形状の表現ととファセットパーツが混在するフォーマットもあります。パラメトリックなフォーマットのジオメトリの場合は、この設定は何の効果もありません。
| ファセットを完全にコントロールするには |
| ファセットを完全に制御するには、SimScaleの外部でSTLを分割して別のSTLファイルにし、すべてをzipファイルとしてアップロードします。インポート時にファセット分割はオフにします。ファイルはソリッドとして変換され、STLソリッドは面として変換されます。 |
Automatic Sewing (自動縫合)
自動縫製は、別々に保存されているモデルのパーツを正確に接続しようとします。接続することによって閉じた輪郭ができる場合、オリジナルの面形状によって結合されたソリッドボディを作成します。ほとんどのシミュレーションは3次元で行われ、入力としてソリッド領域を必要とするので、インポート時にこのオプションを使用することをお勧めします。
Improve data on import (インポート時のデータ改善)
このオプションは、公差の調整やエンティティの簡略化などにより、モデルのトポロジー(エッジや頂点など)やジオメトリを改善します。この機能を有効にすることで、CAD編集やデータ処理といったSimScale内での処理が改善されるため、インポート時には使用することをお勧めします。
非常に複雑なモデルの場合、処理にかなりの時間がかかることがあります。ジオメトリの処理やメッシュ作成で問題に直面した場合は、この機能を無効にした方が良い場合もございます。
Optimize for LBM/PWC (LBM/PWCに向けた最適化)
この機能を使用すると、*.stlファイルを Incompressible LBM および Pedestrian Wind Comfort 解析タイプに最適化した方法でインポートされます。LBMソルバーでは必要としないモデルの縫合や簡易化のような複雑な処理が省かれるため、大きくて複雑なモデルも高速にインポートできます。
アセンブリのアップロード
特定のCADツールのフォーマットでは、SimScaleはアセンブリファイルのアップロードに対応しています。アセンブリファイルをアップロードするには、アセンブリファイルと一緒にすべてのパーツファイルとサブアセンブリファイルをまとめ、* .zip ファイルを作成してください。その後、アップロード画面でこの *.zip ファイルをアップロードします。
アセンブリファイルをアップロードする際の一般的な手順は以下のページをご覧ください。
SimScaleにアセンブリをアップロードする方法は?
現在、SimScaleは以下の形式のアセンブリアップロード機能をサポートしています。
| CADツール | ネイティブパーツ形式 | ネイティブアセンブリ形式 |
| CATIA | .CATPart | .CAT製品 |
| Fusion 360 / Inventor | .ipt | .iam |
| SOLIDWORKS | .sldprt | .sldasm |
| PTC Creo | .prt | .asm |
| 注意 |
|
サブアセンブリが存在する場合、SimScaleはまずアーカイブファイルのファイル名がアセンブリファイルのファイル名と一致するかどうかをチェックし、一致しているアセンブリをルート(親)アセンブリとしてインポートします。 |
| 注意 |
| ジオメトリの丸い部分に角があるように見える場合でも、ご心配なさらないでください。 SimScaleは、表示目的でジオメトリを自動的に簡略化し、モデルをスムーズに操作できるようにします。SimScaleは、内部的には、特にメッシュ生成処理において、完全なジオメトリを使用します。 |
Pack & Go
SOLIDWORKSやAutodesk Inventorなどの一部のCADツールには、モデルに関連するすべてのファイルを正しい参照とともに保存するPack and Go機能があります。このワークフローは、エクスポート時にファイル構造を自動的に処理するため、複雑なアセンブリ(親アセンブリと子アセンブリ)をエクスポートする際に役立ちます。
下の図は、SolidWorksでPack and Go機能を使用する手順を示しています。
「ファイル」移動して「Pack and Go」を 選択します。
Pack and Go に移動すると下図のウィンドウが開きます。ここでは、「Zipファイルに保存」を有効にしてください。
Pack and Goで保存したzipファイルはSimScaleに直接インポートできます。アップロードの際は、SimScaleのアップロード画面で適切なファイル形式を選択することを忘れないでください。
プラグインによるインポート
シームレスな設計ワークフローを可能にするため、SimScaleはいくつかのCADモデリングツールとの直接統合を提供しています。これらの統合により、SimScaleへの設計の直接のインポートが可能になります。
Onshape用SimScaleコネクタアプリ
SimScale Connector App for Onshape を使用すると、ファイルのエクスポートやアップロードを行うことなく、OnshapeアカウントからSimScaleシミュレーションプラットフォームにCADモデルを素早く直接インポートできます。
Autodesk® Fusion 360™用のSimScaleアプリ
Autodesk Fusion 360上でモデルを作成し、数回クリックするだけでSimScale上の既存プロジェクトにジオメトリをプッシュすることができます。
ダウンロードは、Fusion 360アプリストアをご覧ください:
SimScale内のCAD操作 ~ CADモード
CADアップロード後、追加の準備が必要な場合があります。SimScaleは、 「Edit in CAD mode (CADモードで編集)」 または単に「CAD mode (CADモード)」と呼ばれるモデルを簡易的に編集する専用環境を提供し、他のCADソフトウェアに切り替えることなくSimScale内でモデルを最適化するのに役立ちます。
CAD modeについて詳しくはこちら:CAD Mode (CADモード)
CADモードは、スケーリング、押し出し、ボディと面の削除、サーフェス分割、フローボリューム抽出など、多くの操作をサポートしています。CADモードにアクセスするには、下図の手順に従ってください。
シミュレーション成功のためのCAD準備のヒント
CADモデルの複雑さと品質によっては、準備とクリーンアップ(簡略化)作業が必要な場合があります。このクリーンアップ作業のほとんどは、CADモード環境内で行うことができます。シミュレーションが初期にエラーになる、流体領域をうまく作れないといった場合は、以下の一般的なガイドラインを参考になさってください。
一般的なヒント
- シンプルなモデルでトライする:
想定しているシミュレーションによるアプローチが実行可能かどうかをまずは確認するために、非常に単純なバ ージョンのモデルデータに対してシミュレーションを実施してみてください。 - ワークフロー全体を考える:
メッシュと境界条件をどのように適用するか自薦に考えておくと、CADの準備に役立ちます。 - 問題を明確に理解する:
問題のメカニズムを理解することで、特定のモデル形状の影響を無視できるかどうかを判断するのに役立ちます。
より深く、正確なシミュレーションを成功させるために、以下の要件に留意してください:
モデル寸法
モデルの寸法はシミュレーションにとって非常に重要です。モデルの単位とSimScaleの単位に不一致がある場合、非現実的な幾何学的寸法になる可能性があります。この場合、スケーリング操作を行うことが重要です。
ワークベンチ内で使用されるデフォルトの寸法は メートルです。このオプションは、ファイル内に単位情報を含まない.stlファイルでのみ利用可能です。
複雑さの軽減
CADモデルを簡略化することで、より正確なシミュレーション結果を短時間で得ることができます。最適化の可能性があるいくつかのケースを以下に示します。
フィーチャの省略
CADモデルには、製造上の制約や設置上の理由から、多くの詳細なフィーチャーが含まれていることがよくあります。例えば、小さな穴や巻線などです。これらの詳細なフィーチャーは、最終的な製造や製品機能には関係するかもしれませんが、シミュレーション結果には影響しません。したがって、このようなフィーチャーは削除・無効化が推奨されます。
小さなエンティティを削除
小さなエンティティはメッシングの際に問題となることがあります。鋭角で非常に小さな面がある場合、サーフェスメッシュの作成が失敗することがあります。サーフェスメッシュを生成する前に面をマージしなければならなかった例を以下に示します。このような小さなエンティティは、CADの準備中に削除する必要があります。
対称性の使用
問題が対称である場合、 対称境界条件を使用し、CADモデル全体の一部に対してのみシミュレーションを実行することで、計算時間を大幅に短縮することができます。このような場合、アップロードするモデルはモデルの対称部分のみとします(例えば、全体形状の1/2のみ残して残りはカットする等)
小さな問題から行っていく
1回のシミュレーションでCAD全体を解析するのではなく、CAD全体の小さな部分を1つずつ解析することで、問題の複雑さを軽減し、シミュレーションを高速化することができます。
Rotating zone(回転領域)の場合
ポンプやタービンなど、回転する部品を使用したシミュレーションを実行する場合、シミュレーションに用いるCADモデルを準備する一環として回転領域の形状モデルを作成する必要があります。この場合、シミュレーションにモデルを使用する前に、 CADモードでの操作を含むいくつかの追加ステップが必要になります。CAD準備の詳細については、こちらの記事を参照してください。
CADの不具合
モデルをSimScale固有の内部フォーマットに正常に変換できなかった場合、アップロード後に変換に失敗したエンティティがすべて表示されます。先に進むには、不具合のある部分をすべて修正し、モデルをもう一度アップロードしてみてください。
CADモデルの不具合を見つける方法については 、以下の記事をご参照ください。
CAD形状
一般的に、CADモデルはソリッド、面、エッジ、頂点などの異なるタイプのトポロジーエンティティで構成されています。この形状というのはメッシュ生成やシミュレーションのセットアップに影響を与えるため、認識しておくことが重要です。CADトポロジーの紹介は こちらをご覧ください。
よくある質問
CADデータの準備やジオメトリについて、よくある質問でも記事を用意しています。参考になさってください。