概要
このチュートリアルでは、翼の固有値解析と結果可視化の方法を学んでいきます。「チュートリアル:翼の周波数応答解析」でも同じジオメトリで解析を行い、このチュートリアルで求める固有振動数も使用します。
本チュートリアルで学べること:
- 固有値解析の設定を行い、解析を実施する。
- 境界条件・材料物性といった解析条件を設定する。
- SimScaleのStandardアルゴリズムを用いてメッシュを作成する。
SimScaleでの標準的なフローで作業していきます。
- CADモデルの準備
- 解析条件の設定
- メッシュの作成
- 解析を実施し、結果の可視化
図1: 翼の変位分布の結果表示
1. CADモデルの準備と解析タイプの選択
まず、下記のリンクから、CAD形状データを含むプロジェクトファイルをインポートします。
図2: SimScaleワークベンチにインポートされた翼のCADモデル
| Did you know? |
| 今回のモデルは、単純な翼形状です。このような形状は、自動車の空力やファンなど様々なところで用いられます。固有値解析によって、注意するべき振動数や固有振動の影響が大きい部位を知ることができます。 |
| 構造解析で使用するCADモデルについて |
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CADモデルをインポートするときは、全てのジオメトリに干渉や交差した面・小さなエッジがないようにしてください。これらの問題は、SimScaleのプラットフォームにインポートする前にCAD上で修正してください。詳細はドキュメントを参照してください。 また、インポートするジオメトリはシェル要素ではなく、ソリッドとしてください。 もしもジオメトリに、解析に適さない小さなフィレットや丸みを帯びた面がある場合は、それらのフィーチャーをCADにて無効あるいは削除することを推奨します。これによってメッシュの数と解析時間を削減できます。 |
1.1. 固有値解析 (Frequency Analysis Simulation) を作成する
インポートできたら、左のツリーからインポートしたジオメトリを選択し、Create Simulationをクリックします。
図3: 新たなシミュレーションを作成する
次に、解析の種類としてFrequency Analysisを選択します。
図4: 解析の種類として固有値解析(Frequency Analysis)を選択します
2. 解析条件の設定
2.1. Materials(材料)の設定
SimScaleのプラットフォームでは、多くの材料について予めデータが登録されています。材料を新たに部品に割り当てるには、Materialsタブの横の+ボタンをクリックします。
図5: 新たに材料を割り当てる
MaterialリストよりAluminium(アルミニウム)を選択し、Applyを押して決定します。
図6: 翼のブレードの材料設定のために、アルミニウムを選択する
Bladeに自動的に割り当てられます。物性値はデフォルトで登録されている値を用います。
図7: アルミニウム材料の設定画面。
2.2. Boundary Conditions(境界条件)の設定
翼の側面にFixed support(固定支持)を設定します。Boundary conditionsの横にある+ボタンをクリックし、Fixed supportを選択します。これにより、割り当てられた面が完全固定されます。
図8:Fixed support境界条件を追加する手順。
Assignmentには、ビューアで翼の側面を選択して、境界条件を割り当てます。
図9: 境界条件を翼の断面に割り当てます。
2.3. NumericsとSimulation Controlの設定
Numericsは初期設定値のままとします。
Simulation controlの設定パネルを開きます。対象とするEigenfrequency ScopeをFirst modesとし、Number of modesを初期値のまま10とします。これにより、始めの10個のモードが計算されます。
図10: シミュレーション制御の設定パネル
3. Mesh(メッシュ分割)
標準のメッシャーを使用します。このチュートリアルでは、すべての設定値を初期値のままGenerateをクリックし、メッシュを作成します。線形の有限要素解析では、SimScaleは初期設定では解析精度向上のために二次のメッシュを作成します。(詳細な定義はElement technologyのタブから行えます。詳しくは、こちらのドキュメントをご覧ください。)
図11: 標準的なメッシュ作成の設定。
| Did you know? |
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グローバルなメッシュ設定でメッシュを細かくするよう設定すると、要素数が非常に多くなります。これは、部品全体で細かなメッシュが作成されるためです。 Standardのメッシャーを用いる場合、local element sizeとregion refinementsの設定を使用すると、対象の領域のみメッシュを細かくできます。 |
下図のメッシュが作成されます。
図12: 作成された二次のメッシュ。
| 計算実施済みのプロジェクト |
| 解析条件の設定とシミュレーション計算がすでに実施済みのプロジェクトをこちらからご確認いただけます。 |
4. シミュレーションの開始
これで、シミュレーションを実行する準備が整いました。新たにシミュレーションを開始するには、Simulation Runsの横にある+ボタンをクリックします。
図13: シミュレーションを実行する前のSimulationツリーの表示
計算の途中であっても、途中経過の結果をポストプロセッサで確認できます。結果は計算が進むにつれてリアルタイムで更新されます。
5. ポスト処理
しばらく経つと、結果を確認できるようになります。
5.1. 固有モードと固有振動数
終了したSimulation Runsを展開すると、Plotsの下層にStatical Dataの項目があります。ここに、計算された固有振動数が表示されます。結果データを見るほかに、表の上部に表示されているアイコンをクリックすると表データとしてダウンロードもできます。
結果の確認の仕方を少し説明いたします。Eigenfrequencyに固有振動数が表示されています。1次モードは約4Hzと分かります。続いて、Modal Effective Massは各方向についての有効質量を表しており、値が大きいほど、その方向への振動が大きいと言えます。したがって、1次モードではY方向 (上下)、2次モードではZ方向(前後)への変形が大きいと読み取れます。
図14: Statical Dataから固有振動数や質量寄与率の確認
5.2. 結果分布の可視化
コンター図や変形図で固有値解析の結果を見るには、終了しているRunのダイアログからPost-process resultsをクリック、あるいはSolution Fieldsをクリックします。
図15: 解析が終了したら、ポストプロセッサで結果を確認できる
モード変位をカラーコンターで表示してみます。ColoringでDisplacement Maginitudeを選択し、カラーコンター表示します。画面下部に表示されているカラーバー上で右クリックし、Use continuous scaleをクリックすると、色の変化を滑らかにするように可視化方法を調整できます。さらに、Coloringで別の項目を選択することで、表示する結果を変更できます。
なお、ここで表示される変位の値は、振動が生じた際の実スケールの変位量ではありません。モードを確認するための相対的な値ですので、ご注意ください。実スケールでの変位を求めるには、周波数応答解析 (Harmonic)を利用する必要があります。
図16: Use continuous scaleとすると、色がなめらかに変化するようにできます。
5.3. 変位の可視化
SimScaleのポストプロセッサでは、画面上部のツールバーから、様々な表示フィルタ(可視化方法)を選択できます。使用したいものをクリックすると、設定パネルが表示されます。
まず、Displacement(変位)を選びます。それだけでは、結果の表示は大きくは変わらないかと思います。
図17: Displacementフィルタといった、様々なフィルタ機能が上部に表示されています。
下記のように設定してみます。
- Scaling factorを0.25にします。これにより、変形表示のスケールを変更できます。0.25にすると、固有振動のモードが分かりやすくなります。
- 画面右側に表示されているタイムステップバーで、ひとつ前のステップに戻してみます。すると、図14の表での9次モードが表示されます。各ステップが異なる周波数に対応し、表示を変更できます。例えば、バーを一番左まで持っていくと、1次のモードを表示できます。
図18: 変形図のスケールを0.25に変更すると、結果が強調されます。
固有値解析によって、ジオメトリの固有振動数を求められます。設計を評価するにあたって、固有値と固有振動数におけるモード形状の情報は重要です。その情報をもとに、固有振動数を上げるように設計を変更したり、共振を避けるような運転状況に調整したりできます。
次のチュートリアルで説明します周波数応答解析では、固有値解析で得た固有振動数を利用して、実スケールでの変位や応力値を計算できます。次のチュートリアル(翼の周波数応答解析)でさらに振動解析について学びましょう。
SimScaleのポストプロセッサではここで紹介した機能以外にも、様々な方法で結果を分析できます。こちらのページではさらに機能を学べます。
これでチュートリアルは終了です!お疲れ様でした。