Harmonic
Harmonic では、周期的な(正弦波)荷重が構造に作用したときの応答を解析できます。これは、慣性の影響を考慮して動的な解析を行える Dynamic (動解析) と似ていますが、Harmonic の場合は結果は時間ではなく、周波数に応じた応答が得られます。すなわち、周波数スペクトルの形で、振動する力あるいは変位が作用したときの変位や応力の応答を計算できます。例えば、スイープ試験のように振動数を特定のレンジで変動させたときの応答を解析することもできます。
線形解析ですので、使用できる材料特性は弾性体に限られます。ただし、減衰は考慮できます。
境界条件は、全ての線形な条件を使用できます。また、荷重は振動数に対応する形式で入力できます。
得られる結果のフォーマットは他の解析タイプよりも少々複雑となっており、ユーザーは Result control で振幅や位相、実部や虚部といった形で出力する方法を設定できます。試験結果と比較しやすいように、 Probe points 機能で特定の位置の値を出力も可能です。
SimScaleでは、構造解析のソルバーとして Code_Aster が使用されています。
図1: Harmonic で得た異なるデザインにおける変位のコンター図
図2: 図1に示すデザイン違いの2ケースでの変位応答スペクトルの違い
Harmonic シミュレーションの作成
Create Simulationから、解析の種類を選択できます。Harmonic は、下図で矢印で表示されています。
図2: Create Simulation画面
解析タイプを選択して新たにシミュレーションを作成すると、以下のようにシミュレーションツリーが表示されます。次節からは、それぞれの設定項目の概要を紹介していきます。
図3: Static のシミュレーションツリー
Global Settings
シミュレーションツリーのトップに表示されるシミュレーションの名前(図3でいうと Harmonic )をクリックすると、グローバル設定の設定パネルが表示されます。Harmonic では特に変更できる項目はありません。
Geometry
シミュレーションで使用するジオメトリ(CADモデル)を選択します。
Contacts
複数パーツ (ボディ) で構成されるアセンブリモデルを使用する場合は、パーツ間の接触を設定します。最初の状態で、接触面自動的に検出されて Bonded (固着) が設定され、パーツ同士が完全に接合された状態となっています。ここで、もしも Sliding (スライド) などに変更したい場合は個別に設定を作成します。
詳細は、こちらのページの該当する項目をご確認ください。
Connectors
パーツ間のピン結合とボルト結合を、実際にピンやボルトのCADモデルを作成せずに数値モデルに置き換えて解析できます。
- Pin connectors: ピン結合
- Bolt connectors: ボルト結合
詳細は、こちらのページをご覧ください。
Element Technology
有限要素解析で用いる要素について設定を行えます。初期設定では Automatic となっており、解析タイプや条件設定に応じて自動的に設定がなされます。 Custom とすると下記の項目を手動で設定できます。
-
Mechanical mesh order
- 要素の次数を First (1次) と Second (2次) から選択できます。2次要素の方が精度が上がる一方、計算に要する時間が増加します。
-
Reduced integration
- トグルをオンにすると、低減積分で計算します。低減積分では剛性が過剰に高く計算されるロッキングを回避できる一方、アワーグラスモードと呼ばれる現象が生じる可能性があります。
Element Definitions
Element technology で Definition を Custom とした場合にのみ表示され、設定できます。特定のボディに対して、低減積分の設定を変更できます。
詳細は、こちらのページの該当する項目をご確認ください。
Materials
材料物性を設定します。材料ライブラリから使用するものを選択してください。該当するものが標準のリストにない場合あるいは物性値を編集したい場合は、どれかひとつを選択してApplyをクリックした後に設定パネルで名前や値を編集できます。 Young's modulus (ヤング率), Poisson's ration (ポアソン比), density (密度) を設定できます。
Harmonic では、Damping で以下の減衰特性を設定できます。
- Hysteretic damping (ヒステリシス減衰, 構造減衰)
- Rayleigh damping (レイリー減衰, )
複数の材料を設定する場合は、ひとつのパーツ・ボディに対して設定できるのは一種類の材料のみです。重複しないようにお気をつけください。
詳細は、こちらのページの該当する項目をご確認ください。
Initial Conditions
Nonlinear を有効にした場合のみ設定できます。初期状態でCADモデルの状態から部品を移動させたい場合や、プレストレスを考慮したい場合に使用します。モデル全体あるいは一部 (Subdomain) に対して初期値を設定できます。全体設定では、テーブル形式でX, Y, Zの軸方向座標に対しての値も設定できます。
Static で初期値を設定できる項目は、 Displacement (変位) と (σ) Stress (応力) です
詳細は、こちらのページの該当する項目をご確認ください。
Boundary Conditions
境界条件として拘束および、応答を励起する荷重を設定します。上述の通り、線形な条件のみ設定できます。ユーザーが正弦波になるように値を設定する必要はなく、自動的に行われます。 Phase angle (位相角) を境界条件ごとに設定することで、各境界条件間の位相のオフセットを考慮できるようになります。
境界条件は、周波数によって値が変化するように、テーブルまたは関数で設定もできます。 Force (荷重) などのベクトル形式で設定する境界条件については、スカラー値である Scaling factor (スケーリング係数) を周波数の関数あるいは周波数に対するテーブル形式で設定できます。
Base excitation を使用すると、構造物全体に対して任意の加速度振幅を設定することもできます。
詳細は、こちらのページの該当する項目をご確認ください。
Numerics
計算に使用されるソルバーを選択できます。直接ソルバーや反復ソルバーの種類を選択でき、これによって計算時間や必要なメモリが異なります。その他、ソルバーに応じて詳細な設定が可能です。
詳細は、こちらのページの該当する項目をご確認ください。
Solution method を Modal based とすることで、モーダル法による周波数応答解析をご利用いただけます。これにより、固有値解析を手動で実施する必要がないほか、直接法よりも速く結果が得られるようになります。多くの場合は、Modal based の利用がおすすめです。Modal based を使用する場合の設定は以下のページをご確認ください。
HarmonicでのModal-based(モーダル法)オプションの利用
Simulation Control
周波数応答解析を行う周波数の値・レンジをここで設定します。 Excitation frequencies を変更することで、単一の振動数か、レンジを設定するか変更できます。また、使用するプロセッサの数についてもここで設定を変更できます。
設定項目は以下の通りです。
なお、NumericsでModal basedの利用を設定した場合の設定項目については、こちらのページをご確認ください。
-
Excitation frequencies: Single frequency (単一の周波数) の場合
- Frequency: 解析を行う周波数
図4: Excitation frequencies: Single frequency (単一の周波数) の場合
-
Excitation frequencies: Frequency list (複数の周波数) の場合
- Start frequency: 最初の周波数
- End frequency: 最後の周波数
- Frequency stepping: 周波数の間隔
図5: Excitation frequencies: Frequency list (複数の周波数) の場合
その他の項目は、こちらのページの該当する項目をご確認ください。
Result Control
結果の出力方法について設定します。 Harmonic では、 Solution fields と Point data で結果を出力するよう設定できます。 Solution fields は、ポストプロセッサでコンター図として可視化できるデータです。 Point data で設定した項目は、周波数に対するグラフプロットとして得られます。
それぞれ、出力できる値は以下の通りです。
-
Solution fields (分布データ)
-
Force (力):
- Reaction force (反力), Nodal force (節点力)
-
Strain (ひずみ):
- Total strain (全ひずみ)
-
Stress (応力):
- Cauchy stress (コーシー応力), Von Mises stress (フォンミーゼス応力), Von Mises stress (Max over Phase) (フォンミーゼス応力 (全位相での最大値))
- Displacement (変位)
- Velocity (速度)
- Acceleration (加速度)
- ERP density (ERP密度)
-
Force (力):
-
Point data (ポイントデータ)
- Solution fields で指定できる各値を、指定したポイントについて出力します。ポイントはジオメトリプリミティブで指定します。なお、ひとつの Point data の設定に対して、ひとつの値を設定できます。同じ点に対して複数の値を出力するよう設定したい場合は、出力したい項目の種類だけ設定を作成します。
各値について、複素数で結果が得られます。出力を、 Magnitude and Phase (大きさと位相角) あるいは、 Real and imaginary (実数部と虚数部) から選択できます。
Mesh
空間を離散化して有限要素法で計算するためには、細かな要素にメッシュ分割します。構造解析では、 Standard アルゴリズムを使用できます。
メッシュに関する項目の詳細は、こちらのページの該当する項目をご確認ください。
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