流体解析機能における Global Settings (グローバル設定) の項目を説明します。グローバル設定の設定パネルは、シミュレーションツリーのトップのシミュレーション名をクリックすると表示されます。解析の機能やアルゴリズムの有効・無効を切り替えられます。有効にした機能に応じて、シミュレーションツリーで条件設定や結果表示の項目が表示されます。
図1: グローバル設定の設定パネル(上図はConjugate Heat Transfer v2.0の場合)
Turbulence model (乱流モデル)
現実において工学的に取り扱う流体は乱流であり、乱流モデルを用いた計算は重要です。乱流が存在する場合、流れの挙動を乱流が支配し、結果としてエネルギーの散逸・攪拌・熱伝達・抗力の増加が生じます。そういった乱流の影響を予測するために乱流モデルが構築され、使用されています。
SimScaleでは、CFDで一般的なRANS (Reynolds-averaged Navier-Stokes equation) に基づくモデルを始めとする乱流モデルを使用できます。また、低レイノルズ数で、乱流は無視でき、粘性効果が支配的な場合に使用できる Laminar も提供されています。
2023年6月現在、以下の乱流モデルを使用できます。
なお、LESモデル (LES Smagorinsky と LES Spalart-Allmaras) は Transient (非定常解析) でのみご利用いただけます。また、LESモデルの詳細な設定は、 Model より行っていただけます。
以下は Incompressible (LBM) でのみ使用できます。
- LES Smagorinsky (direct)
- K-omega SST (DDES)
- K-omega SST (IDDES)
Time dependency (時間依存性)
Steady-state (定常) と Transient (非定常) から選択します。定常な流れの状態を解析したい場合は Steady-state を使用します。流れが時間経過に伴って変化する様子を解析したい場合は、 Transient を使用します。 Steady-state の方が計算コストは小さいです。
なお、 Multiphase ではすべて Transient となります。
Passive species (パッシブスカラー)
以下の解析タイプで利用できます。
パッシブスカラー機能では、流れにのって移動するスカラー量の解析を行えます。ここで、スカラー量は例えば空気中の物質の濃度を表します。パッシブスカラーとして扱う値の挙動は passive (受動的) であり、流体の挙動には影響を及ぼしません。
パッシブスカラーの用途は他には、流体中の酸素の移動などが考えられます。定義するスカラー量は特定の次元・単位は定められておらず、任意の値として仮定できます。
詳細は、こちらのページをご覧ください。
Cavitation (キャビテーション)
以下の解析タイプで利用できます。
Constant gas mass fraction cavitation model を用いて、キャビテーションの計算を行えます。解析結果として、 Total Gas Volume Fraction の分布として、気泡が生じている位置を可視化できます。
詳細は、こちらのページをご覧ください。
Compressible (圧縮性)
以下の解析タイプでのみ利用できます。
- Convective Heat Transfer
- Conjugate Heat Transfer & Conjugate Heat Transfer v2.0
- Conjugate Heat Transfer (IBM)
Compressible を有効にした場合、領域内で生じる密度変化が圧力と温度に基づいて計算されます。また、圧力は絶対圧力 (例えば海抜で101325 Pa) を使用します。
なお、このトグルがオフの場合は、ブシネスク近似が使用されます。この近似法は、自然対流といった領域内の温度変化が小さい場合を仮定しています。また、圧力はゲージ圧 (0 Pa) を使用します。
Radiation (ふく射)
以下の解析タイプで利用できます。
-
Convective Heat Transfer
- 定常解析 (Time dependency: Steady state) のみ
- Conjugate Heat Transfer & Conjugate Heat Transfer v2.0
- Conjugate Heat Transfer (IBM)
有効にすると、電磁波として熱伝達が生じるふく射をシミュレーション内で計算します。温度が高くなってくるとふく射が及ぼす影響は大きくなるため、シミュレーション内で考慮することは重要となります。
詳細は、こちらのページをご確認ください。
Solar load (日射)
以下の解析タイプで利用できます。
有効にすると、太陽熱・日射によるふく射の計算を行えます。熱流体解析において、日射は追加の熱源となります。例えば、屋内環境の熱快適性評価を行いたい場合には、日射の影響を考慮することは重要です。
詳細は、こちらのページをご確認ください。
Relative humidity (相対湿度)
以下の解析タイプで利用できます。
-
Conjugate Heat Transfer v2.0
- Compressible も有効にした場合のみ
有効にすると、相対湿度を考慮したシミュレーション計算を行えます。解析領域内での湿度の輸送および混合流体密度への影響を解析します。さらに、解析結果として、 Percentage of Relative Humidity (相対湿度のパーセンテージ), Absolute Humidity (絶対湿度), Specific Humidity (比湿) の分布を可視化できるようになります。
詳細は、こちらのページをご確認ください。
Joule heating (ジュール熱)
以下の解析タイプで利用できます。
有効にすると、熱と流体挙動を解く際に電場についても計算を行い、結果として生じる熱損失を解析します。解析結果として、 Electric Potential (電位), Current Density (電流密度), Joule Heat Generation (ジュール発熱) の分布を可視化できるようになります。
詳細は、こちらのページをご確認ください。