Conjugate Heat Transfer (V2.0)
Conjugate Heat Transfer (CHT) では、固体とその内外の流体間で生じる熱移動を解析できます。適用できる現象としては、熱交換機、電子機器の冷却、その他の冷却・加熱システムが挙げられます。なお、固体内の熱伝導のみ / 流体領域での対流の解析のみ行うことも可能です。
Conjugate Heat Transfer V2.0 は、固体領域と流体領域でエネルギー方程式が強くカップリングされている、計算の収束が速いロバストなソルバーとなっています。機能面では、非圧縮性・圧縮性を考慮でき、日射のモデリングなどもできます。
図1: Conjugate heat transferで計算した熱交換器周りの自然対流。パイプ内の冷却水によって、周囲の高温気体が冷却されています。
SimScaleでは、簡単に共役熱伝達の解析を実施できます。解析の設定の手順を示していきます。
Conjugate Heat Transferシミュレーションの作成
Create Simulationから、解析の種類を選択できます。Conjugate Heat Transferは、下図で矢印で表示されています。
図2: Create Simulation画面
解析タイプを選択して新たにシミュレーションを作成すると、以下のようにシミュレーションツリーが表示されます。次節からは、それぞれの設定項目の概要を紹介していきます。
図3: Conjugate heat transferのシミュレーションツリー
Global Settings
シミュレーションツリーのトップに表示されるシミュレーションの名前(図3でいうと Conjugate heat transfer )をクリックすると、グローバル設定の設定パネルが表示されます。Conjugate heat transfer および Conjugate heat transfer V2.0で設定できる項目は以下の通りです。
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Compressible (圧縮性の考慮)
- トグルのオン/オフを切り替えます。オンの場合は圧力と温度を考慮して密度変化を計算します。
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Radiation (ふく射)
- トグルのオン/オフを切り替えます。オンの場合はふく射の計算も行います。
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Solar load
- トグルのオン/オフを切り替えます。オンの場合は日射モデルを利用できます。この機能は、屋内の熱環境シミュレーションを行い際に活用できます。
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Relative humidity
- Compressibleがオンの場合のみ使用できます。オンの場合は、乾燥した空気と湿潤な空気の密度差を考慮するように計算が行われます。蒸発や凝縮は取り扱えません。
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Joule heating
- トグルのオン/オフを切り替えます。オンの場合は、ジュール熱モデルを利用できます。この機能は、電子機器の熱冷却のシミュレーションを行う際に活用できます。
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Turbulence model (乱流モデル)
- 乱流モデルを選択します。利用できる乱流モデルは以下の通りです。
- LES Smagorinsky (V2.0では不可)
- Laminar
- k-epsilon (2025年夏より利用可能になりました)
- k-omega SST
- 乱流モデルを選択します。利用できる乱流モデルは以下の通りです。
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Time dependency (時間依存性)
- Steady (定常) か Transient (非定常) を選択します。
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Passive species (パッシブスカラーの数)
- パッシブスカラー機能を利用して計算を行う、流れに乗る物質の数を設定します。
詳細は、こちらのページの該当する項目をご確認ください。
Geometry
解析で使用するジオメトリ(CADモデル)を選択します。Conjugate Heat Transferでは、以下の点に気を付けてください。
- 固体領域と流体領域を表すジオメトリが、最低ひとつずつ必要です。
- 熱交換が行われる領域間の境界面は、しっかりと定義できる必要があります。
- 後述のContactsにあるとおり、接触面は自動で判定されますが、認識されない場合もあります。その場合、CADモードのImprint機能で接触面を認識するように定義する必要があります。詳細はこちらをご覧ください。
Contacts
Contactsを選択すると、自動的に認識された接触面がビューアに表示されます。ここで表示される接触面が熱移動が行われる領域同士の境界面となります。接触する領域の両方で接触面が認識されている必要があり、もしも接触面が認識されていない場合はCADモードのImprint機能(詳細はこちら)を利用します。Imprintによって、CADデータの面に分割等の処理が行われ、接触が認識されるようになります。
図4: 部品間の接触とImprintの作用例
詳細は、こちらのページをご確認ください。
Model
Gravity: 重力に関する設定をします。
Global Settingsにて以下の設定を行った場合のみ以下の設定が必要です。
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Conjugate Heat Transferで乱流モデルをLES Smagorinskyとした場合
- LESにおけるDelta coefficientなどを設定できます。
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Passive speciesを1以上に設定した場合 (パッシブスカラーを利用する場合)
- Turb. Schmit number (乱流シュミット数)
- Diffusion coefficients (拡散係数)
詳細は、こちらのページの該当する項目をご確認ください。
Materials
解析で使用する物性を設定します。材料ライブラリから使用するものを選択してください。該当するものが標準のリストにない場合あるいは物性値を編集したい場合は、どれかひとつを選択してApplyをクリックした後に設定パネルで名前や値を編集できます。
なお、必ずしも固体・流体両方に材料を設定する必要はありません。固体内の熱伝導のみ、あるいは流体領域での対流のみ解析する場合は固体と流体どちらかで大丈夫です。
Joule heating (ジュール熱) 機能を利用する場合は、固体材料の電気伝導率などの物性はここで設定します。
詳細は、こちらのページの該当する項目をご確認ください。
ジュール熱機能の詳細は、こちらのページをご確認ください。
Initial Conditions
Initial conditionsでは、解析領域内で計算する値について、計算開始時点での初期値を設定します。Conjugate heat transferでは、圧力 (P)、速度 (U)、温度 (T)について初期値を設定できます。なお、圧力はModified pressureであり、絶対値のみ取り扱います。その他、グローバル設定に応じて、関連した値も設定できます。Relative humidityを使用する場合も、湿度をここで設定します。初期値は、解析領域全体か、その一部 (subdomain)に対して設定できます。
定常解析においても、想定される値に近い値をInitial conditionに設定しておくことで、計算が不安定になりにくくなります。なお、SimScaleでは実際の解析を行う前にポテンシャル流れの計算を行い、初期条件を設定する機能もございます。(Simulation controlsのPotential foam initializationで利用を切り替えられます。)
詳細は、こちらのページの該当する項目をご確認ください。
Boundary Conditions
Boundary conditions (境界条件) では、解析を行う系と周囲の環境における境界面の状態を設定します。例えば、流入・流出の設定を行えます。
Joule heating (ジュール熱) 機能を利用する場合は、Wall (壁境界) の設定項目にElectrical condition が表示されますので、Current inflow(電流の流入量)、Current outflow (流出量) 、Electrical potential (電位)を設定できます。
設定できる境界条件の詳細は、こちらのページをご確認ください。
ジュール熱機能の詳細は、こちらのページをご確認ください。
Advanced Concepts
Advanced conceptsでは、発展的な解析条件項目の設定を行えます。Conjugate heat transferで利用できる項目は以下の通りです。
- Porus media (多孔質体モデル)
- Power sources (熱源モデル)
- Momentum sources (動力源モデル)
- Passive scalar sources (パッシブスカラーの発生源)
- Thermal resistance networks (熱抵抗ネットワークモデル)
Numerics
Numericsでは、実際に方程式を数値的に解くにあたっての離散化スキームやソルバーの設定を行えます。これは、解析の安定性に影響します。ユーザーは全ての設定を変更できるようになっていますが、特段必要なければ、デフォルトの設定をご利用ください。
なお、SimScaleのConjugate heat transferでは、OpenFOAM®の独自バージョンを使用しています。
詳細は、こちらのページの該当する項目をご確認ください。
Simulation Control
シミュレーションに関する全般的な設定を行います。例えば、タイムステップや解析終了時間、使用するプロセッサのコア数を設定できます。
詳細は、こちらのページの該当する項目をご確認ください。
Result Control
解析結果の追加出力項目を設定できます。下記の項目を出力するように設定できます。
- Forces and moments: 特定の面に作用する力とモーメント。
- Surface data: 特定の面における平均値・総和。
- Probe points: プローブポイントを指定して値を出力。
- Field calculations: 標準の結果出力に追加して出力する分布データを設定します。
詳細は、こちらのページの該当する項目をご確認ください。
Mesh
流体の動きを数値的に解くために、解析領域を小さな区分にメッシュ分割します。以下のメッシュ作成アルゴリズムを使用できます。
詳細は、こちらのページの該当する項目をご確認ください。
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